時評(2月27日)

脱炭素社会の実現に向けて、ガソリン車から電気自動車などへと転換する動きが世界的に広がっている。日本も乗り遅れることなく、流れを見据えながら戦略を立てなくてはならない。 政府は昨年12月にまとめた経済と環境の好循環を作る「グリーン成長戦略」の.....
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 脱炭素社会の実現に向けて、ガソリン車から電気自動車などへと転換する動きが世界的に広がっている。日本も乗り遅れることなく、流れを見据えながら戦略を立てなくてはならない。[br][br] 政府は昨年12月にまとめた経済と環境の好循環を作る「グリーン成長戦略」の一環として、遅くとも2030年代半ばまでに軽自動車を含めた乗用車の新車販売で「100%電動車」の実現を打ち出した。[br][br] さらに、「50年カーボンニュートラル」を宣言した菅義偉首相は、施政方針演説で「35年までに、新車販売で電動車100%を実現する」と、より明確な目標を掲げた。電動車は電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、水素を使う燃料電池車(FCV)などが含まれ、電動車への転換促進は脱ガソリン車への流れを加速させる。[br][br] 温暖化対策として世界各地ではガソリン車規制が相次いでいる。英国が30年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止し、カナダのケベック州、フランス、米カリフォルニア州も35~40年までにガソリン車の新車販売規制を決めている。大規模自動車市場の中国は35年をめどに新車販売をEVとHVなど環境対応車のみとしている。[br][br] 日本でも当初、世界的な潮流に合わせて電動車はEVへ移行させる計画も検討されたが、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)がEVの急速な普及を強いられれば、自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまうと懸念を表明したこともあり、自動車業界に配慮してHVも含めた経緯がある。[br][br] ただ、成長戦略の実行計画には「この10年間は電気自動車の導入を強力に進め、軽自動車や商用車の電気自動車や燃料電池車への転換について対策を講じていく」との政策を盛り込んだ。[br][br] 環境対応車としてのHVに対しては世界各国の評価が分かれている。日本は世界で初めてHVの量産を生んだ国としてHVへのこだわりが強いが、政府が目指すカーボンニュートラルの社会を実現するにはEVやFCVの普及は必須だ。[br][br] モーターとエンジンを併用するHVは排ガスを出す。国内で排出される二酸化炭素のうち、自動車の排ガスによるものは16%を占める。[br][br] HVをエコカーと見なさない欧米などの規制の広がりが今後どのように展開していくのか、予断は許さない。HVにこだわってガラパゴス化することなく、世界の動向を見極めながら脱ガソリン車の開発を進める必要がある。