【にぎわい創出の行方 はっち開館10年】(下)集中投資の成果出せるか

八戸市中心街に次々と整備された(左上から時計回りに)はっち、マチニワ、八戸ブックセンター、新美術館。整備効果を一層高めるため、今後は官民一体となって回遊性向上に向けた取り組みが求められる
八戸市中心街に次々と整備された(左上から時計回りに)はっち、マチニワ、八戸ブックセンター、新美術館。整備効果を一層高めるため、今後は官民一体となって回遊性向上に向けた取り組みが求められる
昨年12月、八戸市庁前に新たな施設が完成した。「はっち」から北にわずか100メートルの位置に現れた白色の建造物は市が整備した新美術館だ。市が進める「アートのまちづくり」の中核施設として位置付けられ、今秋のグランドオープンを見込む。はっち、八.....
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 昨年12月、八戸市庁前に新たな施設が完成した。「はっち」から北にわずか100メートルの位置に現れた白色の建造物は市が整備した新美術館だ。市が進める「アートのまちづくり」の中核施設として位置付けられ、今秋のグランドオープンを見込む。はっち、八戸ブックセンター、マチニワ、そして新美術館…。小林市政が、はっちを皮切りに中心街で進めてきた“集中投資”は新美術館の完成で一段落を迎える。中心街関係者からは「街に人が訪れるチャンス」と期待の声が上がる一方、一部の市民からは「文化施設ばかりで本当ににぎわいの創出につながるのか」と懐疑的な意見も聞こえる。[br][br]   ■    □[br][br] 現在進行中の第3期八戸市中心市街地活性化基本計画(2018年12月~24年3月)では、19年にオープンした屋内スケート場や今秋オープンする新美術館などをフルに活用して中心街ににぎわいを創出する計画を掲げている。[br][br] はっちをはじめ、屋内スケート場やマチニワなど個別の施設は一定の集客力があり、中心街のにぎわい創出の鍵を握るのは、いかに各施設の来場者の回遊性を高めるかに懸かっている。[br][br] 八戸中心商店街連絡協議会の松井正文会長は「中心街活性化という意味は非常に広く、街に目的を持って訪れる人が増えればにぎわいは生まれる。はっちひろばの活用などの取り組みをもっと充実させ、連携して人が来る仕組みを築いていきたい」と強調する。[br][br] 一方、各施設の維持管理費(人件費や自主事業費など含む)も決して小さくはない。19年度のはっち、マチニワ、八戸ブックセンター、屋内スケート場を合わせた維持管理費は年間計約6億円。新美術館も完成後は億単位の費用が見込まれる。[br][br] 公共施設という性質上、収支のみで判断するのは難しいが、集中投資をした分、成果が出せなければ、税金を納めている市民の理解は得られない。[br][br]   □    ■[br][br] 新美術館の開館に伴い、これまで市民の文化活動などの拠点として機能してきたはっちには一層、独創性のある事業展開が求められる。[br][br] はっちには、芸術家が一定期間滞在して創作活動をする「アーティスト・イン・レジデンス」があるほか、市民団体が作品を発表、展示するスペースなどがあり、新美術館と重複する部分もある。[br][br] 一方、子育て支援施設の「こどもはっち」や、飲食ブース、地域の郷土芸能、食の発信などはっちならではのコーナーも多く、「市民の誇り」を呼び覚ますような役割も担う。これまで以上に魅力ある自主事業を展開し、来館者をさらに増やす取り組みが必要だ。[br][br] はっちが呼び水となり、民間主導の複合ビルが建設されるなど、官が民を導く好循環も見られる。これからの10年、20年に向け、はっちが担う役割は一層重要性を増す。八戸市中心街に次々と整備された(左上から時計回りに)はっち、マチニワ、八戸ブックセンター、新美術館。整備効果を一層高めるため、今後は官民一体となって回遊性向上に向けた取り組みが求められる