東北グレーンターミナル(八戸)小田聡志社長 畜産業と地域経済発展へ

八戸地域を中心とした北東北の畜産業について語る小田聡志社長
八戸地域を中心とした北東北の畜産業について語る小田聡志社長
八戸港の八戸飼料穀物コンビナートに立地する「東北グレーンターミナル」(八戸市)は、国際物流港の拠点性を生かし、コンビナート内の配合飼料工場に輸入原料などを安定供給している。1982年の操業開始以来、40年近くにわたり、全国有数の生産地に成長.....
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 八戸港の八戸飼料穀物コンビナートに立地する「東北グレーンターミナル」(八戸市)は、国際物流港の拠点性を生かし、コンビナート内の配合飼料工場に輸入原料などを安定供給している。1982年の操業開始以来、40年近くにわたり、全国有数の生産地に成長した青森、岩手両県の畜産業を下支えしてきた。小田聡志社長(56)は「八戸地域を中心とした北東北の畜産は競争力が高い」と強調し、畜産関連業界のさらなる発展を通した地域経済の活性化にも意欲を示す。[br][br] ―東北グレーンターミナルが担っている役割は。[br] 八戸飼料穀物コンビナートでは、年間約200万トンの配合飼料を生産している。ほぼ全てが北東北3県で消費され、地域の畜産振興との関わりが深い。家畜別の供給先は、ブロイラーや採卵鶏の鶏が6割、豚が3割、牛が1割の割合だ。[br][br] 東北グレーンターミナルは全161基の穀物サイロを有し、コンビナート内の配合飼料メーカー6社に原料を供給する窓口の役割を果たしている。原料はトウモロコシやマイロ(コウリャン)などで、大半が米国や南米などの海外から調達したものだ。専用の自社桟橋を利用し、5万トン級の大型船で輸入されている。[br][br] ―近年は八戸飼料穀物コンビナートの重要性が高まっている。[br] 八戸港の拠点性を生かして、輸入原料を大量に調達し、安価で高品質な配合飼料を安定供給できる態勢を整えてきたことが大きい。当社と配合飼料メーカー6社が一大拠点を形成しながら、地域の畜産業と車の両輪のように連携して互いに成長を続けてきた。[br][br] 東北地方最大の配合飼料供給基地となった八戸飼料穀物コンビナートは現在、茨城県の鹿島港、鹿児島県の志布志港のコンビナートに次いで全国3位の規模を誇り、生産量は国内シェアの9%程度を占めている。[br][br] ―地域の畜産関連業界が抱える課題は。[br] 青森県の農業産出額のうち、畜産が全体の3割近くを占め、主要品目別では最も割合が大きい。地域の重要な産業として、関係者が一体となって伸ばしていくことが必要だ。そのためには、県内の畜産施設に関する環境影響評価(環境アセス)の要件緩和などを含め、行政の力も借りて考えていかなければならない。[br][br] 畜産業やそれに関わる飼料、運送業界の人手不足も課題の一つ。この地域でも若い世代の担い手が少なくなっている。まずは、地元に全国有数の畜産業や飼料コンビナートが存在することを知ってもらい、若者が誇りを持って活躍できる場があることを発信したい。[br][br] ―畜産業の将来性は。[br] 畜産業では北海道、北東北、北関東、南九州が生産地としてますます重要になる。その中でも北東北は優位性が高く、大規模生産をできる土地もある。冷涼な気候のため、疾病リスクも低い。八戸と仙台市を結ぶ「三陸沿岸道路」が全線開通すれば、一大消費地である首都圏とのアクセスもさらに良くなる。今後の産地間競争が予想される中、八戸地域を中心とした北東北は、競争力向上のポテンシャルが高いはずだ。[br][br] 新型コロナウイルスの状況下でも、肉や卵は人々の食生活を支える基本食材であることに変わりはない。畜産業は飼料の生産から輸送、家畜生産という全ての流れが機能し、食料安定供給のバリューチェーン(付加価値の連鎖)を築いている。その一翼を担っている使命感を持って、畜産農家や配合飼料メーカー、物流業者としっかりタッグを組み、畜産業と地域経済の発展に貢献していきたい。[br][br] 【略歴】おだ・さとし 大阪市出身。1989年、トーメン(現・豊田通商)に入社。2018年4月に東北グレーンターミナルへ出向し、同6月から代表取締役社長。青森県畜産・飼料コンビナート振興協会の副会長を務める。八戸地域を中心とした北東北の畜産業について語る小田聡志社長