時評(1月31日)

三沢市教委は本年度、小中学生を対象に、眠りの大切さを学び生活習慣を改める「眠育(睡眠教育)」を進めている。成長過程にある子どもに睡眠の役割を理解して自分を見詰め直す機会をつくり、心身共に健康な人を育てることは、欠かせない教育の一つと言えよう.....
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 三沢市教委は本年度、小中学生を対象に、眠りの大切さを学び生活習慣を改める「眠育(睡眠教育)」を進めている。成長過程にある子どもに睡眠の役割を理解して自分を見詰め直す機会をつくり、心身共に健康な人を育てることは、欠かせない教育の一つと言えよう。[br] なぜ睡眠が重要か。免疫力や集中力の低下、食欲不振、肥満や生活習慣病の発症率上昇など、睡眠不足や不規則な睡眠が心身にもたらすと考えられている弊害は多い。[br] 特に、体の成長を助ける成長ホルモンは睡眠中に分泌され、眠りが深いとたくさん出るとされる。睡眠を十分に取ることは子どもにとって大切なこと。眠る時間の長さばかりでなく、脳や体がしっかりと休めるような睡眠の質も重要だ。[br] 市教委が眠育を進める背景には、子どもが生活習慣の乱れや睡眠不足に陥っているという現状がある。睡眠不足などに起因して近年、児童生徒が学校を休みがちになったり、体の不調を訴えたりといった報告が増えているという。[br] 現代の子どもは忙しい。家庭学習はもちろん、塾や習い事、クラブ活動に打ち込み、中学校では定期テストや受験に向けた勉強が加わる。個人差はあるが、年齢を重ねるごとにやるべきことが増えていき、夜型の生活が当たり前になりがちだ。[br] 現代特有の傾向として、ゲームやパソコン、スマートフォンへの依存に陥る子どもも多い。便利で魅力的な半面、時間がたつのを忘れてのめり込んでしまう。睡眠不足との因果関係が大きいのは想像に難くない。[br] 児童生徒の健康の保持・増進、さまざまな依存に負けない習慣づくり。市教委は、市教育振興基本計画(2020~24年度)にこの目標を掲げ、眠育や食育を進める方針を示している。[br] 眠ることは生活の基礎中の基礎。当たり前な生活は、生命維持に必要なだけでなく、将来につながる大事な要素なのは明白だ。そのことを子どもにしっかり伝えるには、家庭での指導が必要なのは言うまでもない。[br] もちろん、大人も忙しい。仕事や環境によっては夜型生活が当たり前。こちらもスマホなどへの依存傾向があり、説得力のある指導などできないと思っている人も多いだろう。[br] だが、重視すべきは子どもの未来だ。保護者には、わが身を省みつつも子どもに寄り添ってほしい。将来を一緒に考えながら睡眠の大切さを伝え、正しい生活習慣を身に付けた人間へと導いてほしい。