天鐘(1月26日)

大きい書店には一面が真っ赤な棚がある。列島の北から南まで、最高学府の名前がずらり。教学社の『大学入試シリーズ』である。合格を目指す受験生のバイブル。その表紙の色から「赤本」と呼ばれる▼1954年創刊。当初は大学ごとに様々な色を用いていたが、.....
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 大きい書店には一面が真っ赤な棚がある。列島の北から南まで、最高学府の名前がずらり。教学社の『大学入試シリーズ』である。合格を目指す受験生のバイブル。その表紙の色から「赤本」と呼ばれる▼1954年創刊。当初は大学ごとに様々な色を用いていたが、10年後に統一した。オレンジ、柿を経て、85年に現在のような赤に。青本、黒本、白本とライバルも多いが、過去問題集の代名詞として広く知られる▼大学の個別試験は共通テストと趣旨が異なる。学生に求める資質や能力を測るべく、教える側の意図も反映される。問われるのは基礎力だけでなく思考力、応用力。受験生は分厚い赤本を手に、傾向と対策を頭にたたき込む▼積み重ねた努力が水泡に帰すような事態である。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一部の大学に中止を含めて入試方法を変更する動きが。「ルール違反」「致し方ない」。教育現場に戸惑いが広がる▼受験は大きな挑戦である。ただでさえ神経がすり減る。そして感染症は不安をあおるだけでなく、将来を左右しかねない障壁に。子どもが不利益を被るような判断だけは避けてほしい▼国公立大の2次試験の出願が始まった。来月には私立大の入試が本格化する。その動向にも影響を及ぼす緊急事態宣言である。感染者は減少傾向もいまだ高水準。期限まで約2週間。受験生が、全国民が注視している。