グリーンツーリズム回復見通せず 青森県内、コロナで打撃

青森県がグリーンツーリズムの需要回復に向け実施したモニターツアー=2020年11月、八戸市
青森県がグリーンツーリズムの需要回復に向け実施したモニターツアー=2020年11月、八戸市
新型コロナウイルスの影響で、農山漁村に滞在し、1次産業の魅力に触れるグリーンツーリズムの需要が落ち込んでいる。青森県によると、2020年度の県内宿泊者数は、主な受け入れ時期である4~11月が前年度比8割減の1529人にとどまり、過去10年で.....
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 新型コロナウイルスの影響で、農山漁村に滞在し、1次産業の魅力に触れるグリーンツーリズムの需要が落ち込んでいる。青森県によると、2020年度の県内宿泊者数は、主な受け入れ時期である4~11月が前年度比8割減の1529人にとどまり、過去10年で最少となりそうだ。教育旅行で訪問予定の34校は全てキャンセルだったため、大きな痛手となった。県は、県内在住者の宿泊費割引を実施し需要喚起を図るが、受け入れ側は「需要回復の見通しが立たない」と嘆く声が聞こえる。[br][br] 県内では、農林漁業体験を通じた地域活性化や、農業者や漁業者に対する経済波及効果を期待し、各地でグリーンツーリズムを推進してきた。 着実に宿泊者数を増やしてきたが、東日本大震災後の11年度は前年度比6割減の2407人に低迷。関係者の尽力で徐々に需要が戻り、19年度は過去10年で最多の7001人に上った。[br][br] だが、新型コロナで再びブレーキがかかった。[br][br] 五戸町で農家民泊を営む佐藤美穂子さん(38)は、野菜の収穫や調理体験などを盛り込んだ宿泊プランを提供。宿泊者数の目標を毎月3組としていたが、昨年12月は1組にとどまった。[br][br] 地域住民への感染リスクを考え、首都圏からの団体客の受け入れを取りやめたこともあった。「団体客の受け入れは難しい。どう対策を打つべきかわからない」と佐藤さん。今後、テレワークができる場所の貸し出しも考えているが、頭を悩ませている。[br][br] 例年であれば1300~2千人に受け入れ先の農家を紹介している南部町のNPO法人「青森なんぶの達者村」は、20年度の農家民泊を中止した。[br][br] 受け入れ先の農業体験では、生産者が手取り足取り説明するため、人と人との接触は避けられない。沖田城司事務局長(33)は「農業体験時だけでなく、食事を提供する時も含めて人と接触する場面は多い。感染リスクに配慮した体験内容につくり変えるのは難しい」と説明する。[br][br] 県は、県内在住者を対象とした需要拡大を目指し、モニターツアーを行ったほか、宿泊者500泊分の割引助成を実施。昨年12月時点で約7割の339泊分を販売した。受け入れ先と現状に関する情報交換を予定するほか、感染対策をまとめたDVDを受け入れ先や教育旅行に参加する学校に配布する。[br][br] 県構造政策課の蛯名芳德課長は「県外客が見込めない中、県内客を徐々に伸ばしつつ、感染防止対策を徹底して教育旅行の再開につなげたい」と述べ、グリーンツーリズムの“復活”に向け取り組みを進めていく考えだ。青森県がグリーンツーリズムの需要回復に向け実施したモニターツアー=2020年11月、八戸市