八戸えんぶり全行事中止 コロナ拡大受け苦渋の決断 

八戸えんぶりの中止を決めた八戸地方えんぶり保存振興会の臨時総会=18日、八戸市のユートリー
八戸えんぶりの中止を決めた八戸地方えんぶり保存振興会の臨時総会=18日、八戸市のユートリー
八戸地方えんぶり保存振興会(塚原隆市会長)は18日、八戸市のユートリーで臨時総会を開き、今年の「八戸えんぶり」(2月17~20日)を中止することを決めた。新型コロナウイルスの影響で長者山新羅神社が昨年11月に神事の取りやめを決定した一方、保.....
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 八戸地方えんぶり保存振興会(塚原隆市会長)は18日、八戸市のユートリーで臨時総会を開き、今年の「八戸えんぶり」(2月17~20日)を中止することを決めた。新型コロナウイルスの影響で長者山新羅神社が昨年11月に神事の取りやめを決定した一方、保存振興会は「一斉摺(ず)り」などを実施する方向で協議を進めてきたが、えんぶり組の団体が感染状況を踏まえて参加見送りを決断したことを受け、全行事の開催を断念した。市教委によると、八戸えんぶりの中止は1927(昭和2)年以来となる。[br][br] 八戸えんぶりを巡っては、同神社が「奉納摺り」と「長者山稲荷大神御神輿(おみこし)渡御式」の両神事の取りやめを決定。一方、保存振興会は市中心街でえんぶり組が競演する一斉摺りなどの各行事を実施する方向で準備を進め、1月中旬の感染状況を見て最終的な開催可否を判断する方針だった。[br][br] えんぶり組で構成する八戸地方えんぶり連合協議会は17日に開いた理事会で、団体として八戸えんぶりへの参加を取りやめる方針を確認。18日の保存振興会の臨時総会で説明した。[br][br] 大館恒夫会長は理由として、▽首都圏などで緊急事態宣言が発令され、青森県内で学校クラスター(感染者集団)が発生した▽子どもの参加は学校や保護者から理解を得られにくい▽高齢者の感染リスクが高い▽医療機関や消防団などを含め、職場からイベント出演の自粛を求められている人がいる―などを挙げた。[br][br] 昨年の一斉摺りには33組が参加したが、今年は現時点で参加意向が半分以下の15組にとどまっており、今後の感染動向が不透明な現状も懸念材料となった。[br][br] 臨時総会では、連合協議会の判断を尊重して全行事の中止について諮り、出席した関係者から反対意見は出なかった。かがり火えんぶり、えんぶり公演、お庭えんぶりなども行わない。[br][br] えんぶりは約800年の歴史があり、八戸えんぶりは国重要無形民俗文化財に指定されている。市教委社会教育課によると、中止は大正天皇崩御を受け、当時の「豊年祭」を取りやめた27年以来で、72年開始の一斉摺りの見送りは初めて。[br][br] 八戸えんぶりの中止に伴い、各えんぶり組は「門付け」も実施しないが、ホテルや商業店舗といった施設からの依頼による公演への参加は各組の判断となる。[br][br] 総会終了後の取材に、塚原会長は「えんぶり組の判断を重く受け止め、参加者の安全や仕事面などを総合的に考えて中止にした。市民の皆さんにもご理解をいただきたい」と述べた。大館会長は「800年の歴史があるえんぶりを取りやめるのは苦渋の決断。残念な思いが大きい」と語った。[br][br] 北奥羽地方では南部町の「南部地方えんぶり」、おいらせ町の「百石えんぶり」も中止が決定している。 八戸えんぶりの中止を決めた八戸地方えんぶり保存振興会の臨時総会=18日、八戸市のユートリー