遠藤准教授(弘大)ナガイモの生育研究に成果/県産の生産拡大見据え

遠藤 明准教授
遠藤 明准教授
弘前大農学生命科学部地域環境工学科の遠藤明准教授(45)は、生産量で国内トップクラスを誇る青森県産ナガイモの生産拡大を見据えた研究に取り組んでいる。2016~18年には生産の安定化と収量増加に向けて、土壌水分の変化や排水設備による品質への影.....
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 弘前大農学生命科学部地域環境工学科の遠藤明准教授(45)は、生産量で国内トップクラスを誇る青森県産ナガイモの生産拡大を見据えた研究に取り組んでいる。2016~18年には生産の安定化と収量増加に向けて、土壌水分の変化や排水設備による品質への影響を研究。その成果は学会で評価され、20年8月に農業農村工学会賞を受賞した。21年以降も新たな研究に着手する予定で、「高品質生産の一助にしたい」と力を込める。[br][br] 研究のきっかけは10年前。遠藤准教授は弘前大に着任した11年春、東日本大震災で被害を受けた三八、上北地方の水田、地下水の塩害を調査していた。被災地へ何度も通う中で交流を重ねた青森県職員から地域の農業問題を聞いた。その一つがナガイモの生産に関するものだった。[br][br] 20年に受賞した研究ではナガイモの生産拡大には土の排水機能を高める必要があることを示した。[br][br] 上北地方のほ場で、土に必要以上の雨水がたまることで生じる品質への影響などを分析した。[br][br] 通常はナガイモを真っすぐな形に育てるため、ほ場の土に幅約20センチ、深さ約1メートルの穴(植溝(うえみぞ))を、植える種イモの量に合わせて作る。ただ、このほ場は土質が柔らかい黒ボク土で、植溝を作ってから土が固まるまで1、2週間ほど待つ必要がある。その間に大雨が降ってしまうと、大量の水分を含んだ一部の土が徐々に沈下する。[br][br] 植溝付近の土に密度のムラが生じ、密度が減った植溝の一部が空洞化する「穴落ち」が発生する。穴落ちが生じた土の少ない部分は栄養が十分に届かず、形がいびつなものや生育不良のナガイモができてしまう。[br][br] 遠藤准教授は、品質を確保するには土壌の排水機能の改善が必要だと考えた。津軽地方のほ場では、土壌にたまった水を排水する深暗渠(しんあんきょ)を地下に設置し、品質の安定化につながることを解明した。[br][br] 21年5月以降は、土壌の硬さと土壌水分の関係性をテーマにした研究に取り組むつもりだ。遠藤准教授は「雨の量によって土が何センチ程度沈むかといった土壌の仕組みを明らかにして、穴落ちの防止につなげていきたい」と展望を語った。遠藤 明准教授