時評(12月28日)

十和田市立中央病院と三沢市立三沢病院は来年4月にも、青森県内初の地域医療連携推進法人を設立する。上十三地域の中核を担う両病院の連携は、将来的な課題に備えて互いを補い合い、一つの共同体として地域医療を展開するイメージだ。 地域医療連携推進法人.....
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 十和田市立中央病院と三沢市立三沢病院は来年4月にも、青森県内初の地域医療連携推進法人を設立する。上十三地域の中核を担う両病院の連携は、将来的な課題に備えて互いを補い合い、一つの共同体として地域医療を展開するイメージだ。[br][br] 地域医療連携推進法人とは、2015年に改正された医療法により、良質で適切な医療を提供するために病院などの連携を進めようと制度化されたもので、各都道府県が認定する。[br][br] 十和田、三沢の両病院とも、経営体制は現状通り独立を保ちながら、連携・協力する。連携推進法人の取り組みとして、▽患者の相互診療体制の構築▽上十三地域でのがん対策の推進▽職員の人材交流―など8項目を想定する。[br][br] 相互診療体制については、電子カルテを互いに見られるシステムを活用、診療科単位で協力するなどして患者がスムーズに高度な医療提供を受けられるようにする。さらに、薬品の共同購入により経営効率化を図るほか、高額医療機器を共同利用・適正配置し、重複投資の抑制、重複検査の回避を実現させる。[br][br] 法人設立を目指す背景には、県策定の地域医療構想がある。上十三地域は、人口減少による急性期病床の過剰、回復期病床の不足のほか、医師不足や将来の患者数減少などの課題が挙げられ、それらの解決が求められている。両病院とも単体では解決が困難と判断、課題に対応できる体制構築を模索してきた。[br][br] 三沢病院の坂田優事業管理者は、連携模索の出発点は両病院間で医師を容易に“貸し借り”できる仕組みをつくれないか、との発想だったと明かす。「カルテは共有されているので、両病院が電話やネットでやり取りし、患者を適切な病院で診ることができる。目指すのは小さなエリアで(医療の提供を)完結させる法人だ」と説明する。[br][br] 三沢病院の担当者によると、法人設立に当たり、将来的に地域内のほかの自治体病院や個人病院、介護施設などに協力を仰ぐことも構想に含める。取り組みを進めて効果を示しながら、各団体に可能な点で連携しよう―と参加を呼び掛ける考えだ。[br][br] 現状や将来の不安を考えると、一団体では地域医療の課題に対応しきれず、連携が最善の形だろう。ただ、運営の進め方によっては、効率化を求める余り、患者の負担が新たに生じる可能性も拭いきれない。統括する運営主体は地域重視の考えを強く持ち、住民の立場に寄り添って、上十三の医療を守る体制構築を目指してほしい。