時評(12月21日)

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えた新たな医療態勢が今月から、青森県内で始まっている。発熱患者への初期対応は、従来の保健所中心から、県の指定を受けたかかりつけ医など「診療・検査医療機関」(指定医療機関)が相談、診療、検査する.....
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 新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えた新たな医療態勢が今月から、青森県内で始まっている。発熱患者への初期対応は、従来の保健所中心から、県の指定を受けたかかりつけ医など「診療・検査医療機関」(指定医療機関)が相談、診療、検査する仕組みに移行。新型コロナ感染者の早期発見につなげて、感染拡大防止に努めてほしい。[br] 新型コロナは症状が多彩で個人差も大きいため、診断の難しさが指摘されている。判断基準の均一化には、医療関係者の情報共有が不可欠だ。さらに、受け入れる医療機関の院内感染対策や県民への周知不足もあり、課題が山積したままのスタートとも言えよう。[br] 新たな態勢では、発熱やだるさ、せきといった症状がある人は身近にいるかかりつけ医に電話で事前に相談。かかりつけ医が指定医療機関であれば、そのまま診療や必要に応じて検査を実施する。未指定や診療のみに対応している場合は、検査ができる指定医療機関を案内。かかりつけ医がいないか相談先が分からない場合は、県コールセンターを通して指定医療機関を受診する流れとなる。[br] 県は発熱患者が受診する間口を広げるため、指定医療機関の数を増やしたい考えだが、難航している。県内の指定医療機関は17日現在、200カ所に満たない。しかも、ほとんどが普段から来院する患者のみに対応し、新規患者を受け入れる医療機関は少ない。[br] その背景には、医療機関側は感染者の受け入れによる院内感染を懸念。発生すると、長期間の休診が余儀なくされるだけでなく、誹謗(ひぼう)中傷や従来の患者が受診控えをする恐れもあり、経営面で立ちゆかなくなる可能性もあるからだ。[br] 未指定のある開業医は「うちは医師1人なので新型コロナの疑いのある患者を受け入れるのは厳しい。他の患者さんやスタッフを感染させるわけにはいかない」と打ち明ける。[br] 10月に弘前市の飲食店で発生した大規模クラスター(感染者集団)の対応もあり、青森県は新態勢への移行が遅れ、東北6県で最後発となった。決して県民への周知は十分とは言えず、引き続き広報していく必要があろう。[br] 例年であれば既にインフルエンザの流行期に入っているが、幸いにも今冬はその兆候はまだ見られない。今のうちに行政や医療機関、受診する県民が準備を整え、歩調を合わせて難局を乗り切りたい。