天鐘(12月20日)

学名「ククルス カノルス」は音楽的との意味を含む。野山で美声を響かせるカッコウのことである。農作業の始まりを告げる「種まき鳥」とも。冬は始まったばかりだが、春になると再び南方から飛来する▼愛らしさに反して、子育ては人任せ。モズなどの巣を見張.....
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 学名「ククルス カノルス」は音楽的との意味を含む。野山で美声を響かせるカッコウのことである。農作業の始まりを告げる「種まき鳥」とも。冬は始まったばかりだが、春になると再び南方から飛来する▼愛らしさに反して、子育ては人任せ。モズなどの巣を見張り、親鳥が離れた隙に卵を失敬し、同時に産卵してすり替える。カッコウのひなは一足先にふ化。背中で他の卵を外に押し出し、わが物顔で巣を独占する▼体温を一定に保つことができないから抱卵しない。「托卵」と呼ばれる生態は種を存続するための術らしい。それにしても、ずる賢いというか、ちゃっかりというか。まさに「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」▼むつ市に立地する建屋は限定的に使われる約束。だが電力業界全体で活用したいという。遠くない将来、使用済み核燃料は原発に収まりきらなくなる。やはり中間貯蔵施設の共用案が浮上した▼使用済み核燃料は再利用する「資源」。ただしサイクル事業が機能しなければ、中間貯蔵は「ゴミ」の置き場と化す。原発も再処理工場もしかり。これまでもこれからも、後処理を巡る迷走に巻き込まれるのか▼殊更に強調される「補完性」「柔軟性」が、原子力政策の行き詰まりを象徴する言葉に聞こえる。ご都合主義の受け入れを強いるのであれば、托卵の片利共生と変わらない。青森県民はそこまで利他的でないはずだが。