天鐘(12月4日)

遠き小学生時代の記憶をたどれば、同級生の女子の名前には大抵「子」が付いていた。由美子、洋子、京子…と、指折り数えていくと、なんと9割を超えている▼昭和の半ばまで一大勢力を誇った「子」だが、それもやがて崩れる。明治安田生命によると、1965年.....
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 遠き小学生時代の記憶をたどれば、同級生の女子の名前には大抵「子」が付いていた。由美子、洋子、京子…と、指折り数えていくと、なんと9割を超えている▼昭和の半ばまで一大勢力を誇った「子」だが、それもやがて崩れる。明治安田生命によると、1965年生まれの最多は「明美」になった。そういえば、中学校に入ったら、その名前の子がいた。以後、「美」や「愛」などが増えていく▼歌は世につれと言うが、子供の名前もまた時代を映す。昭和の皇太子ご成婚の年には「美智子」がはやった。男なら高校野球のヒーローにあやかり「大輔」。親の気持ちは常に時流に敏感だ▼名は子供への最初の贈り物という。一生モノともなれば、おのずと命名にも力が入る。意味は美しく、流れはリズミカルに。わが子に唯一無二なものを―の願いは“キラキラ”を経て、いまや盛りの花畑のごときである▼男子は「蒼」(あおい等)、女の子は「陽葵」(ひまり)。今年生まれた赤ちゃんのトップだそうだ。「コロナ禍に、開放的な印象」とは、調べた同保険会社。優しい自然のようにとの思いなのだろう▼さだまさしさんが歌う『親父の一番長い日』のお父さんは、占いの本と辞書で一週間かけて娘の名を考えた。いつの時代も変わらぬ親心。大切な贈り物を胸に、どうか健やかに。新しい全ての名前が輝くことを、少子化の世に改めて祈る。