【ここに決めた 移住人】京都→八戸 フレンチシェフ井上さん

「海も山も食材が豊富」と、料理の腕を振るう井上健吾さん=10月下旬、八戸市鷹匠小路
「海も山も食材が豊富」と、料理の腕を振るう井上健吾さん=10月下旬、八戸市鷹匠小路
2019年3月20日、八戸市中心街に「ビストロ エトッフ」という名のフレンチレストランがオープンした。オーナーシェフの井上健吾さん(42)は京都市出身。仕事で全国を渡り歩き、結婚を機に妻由布子さん(39)の故郷である八戸に移り住んだ。「海も.....
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2019年3月20日、八戸市中心街に「ビストロ エトッフ」という名のフレンチレストランがオープンした。オーナーシェフの井上健吾さん(42)は京都市出身。仕事で全国を渡り歩き、結婚を機に妻由布子さん(39)の故郷である八戸に移り住んだ。「海も山もあり、新鮮な食材が豊富。都市と大自然の真ん中くらいでちょうどいい」。街と自然が調和した今の暮らしを気に入っている。[br][br] 京都で生まれ育った“都会っ子”ながら、体育教師だった父親の影響で、子どもの頃から山登りが好きだった。大学卒業後、調理の道を志し専門学校へ。卒業後は神戸市のホテルを皮切りに、フレンチシェフとして歩み始めた。[br][br] 北海道ニセコ地区のファームレストランに勤めていた11年、系列店で働く由布子さんと出会った。いつも励まし、背中を押してくれる前向きな性格に引かれ、15年に結婚。「自然の近くで暮らしたい」と16年1月に八戸へ移住し、結婚式場のシェフを経て独立した。[br][br]   □    □[br] 当初は八戸に関する知識と言えば、「サバが有名というくらい」だった。生活を始めると「野菜や果物も豊富で、水がいいからお酒もおいしい」と驚いた。[br][br] さまざまな料理のベースとなるだし汁は、地元産を中心とした野菜を皮ごと使う。「質がいいから余計な調味料を加えなくてもおいしくなる。食材がもともと持っているおいしさを引っ張り出すイメージで料理しているんだ」。4時間じっくりと煮込んだ鍋の中には、砂糖を加えなくても優しい甘みが広がる。[br][br] 井上さんの移住をきっかけに、両親も階上町に引っ越した。自然の中で農作業をしながら生活を満喫しているという。店でも両親の野菜を使っており、「親もうれしそう」とほほ笑む。[br][br]   □    □[br] 井上さんは今年、第一種猟銃免許を取得した。昨年、免許を取った由布子さんの影響が大きく、昨シーズンの猟に同行した際は、初めてニホンジカの解体を目の当たりにした。[br][br] 「普段から魚や肉を扱っているが、『生き物の命を頂戴している』という気持ちが一層強まった」。今月に猟師デビューを果たし、山の恵みに感謝する。近隣に野生鳥獣用の処理施設がないため、現段階では対応できないが、環境が整えばジビエ料理を店で出したいと夢を膨らませる。[br][br] 人々の温かさも欠かせない魅力だ。「出会った人はみんな親切で、人に恵まれたおかげで楽しくできている。こっちに来て良かった」と実感を込める。[br][br] 店名のエトッフは、フランス語で「布」。街と自然、人と動物を緩やかに包み込む八戸での生活に居心地の良さを感じている。「海も山も食材が豊富」と、料理の腕を振るう井上健吾さん=10月下旬、八戸市鷹匠小路