八戸港漁獲不振 日本海イカ釣り苦戦、違法中国船に締め出され

八戸港での船凍スルメイカの水揚げ=6日、八戸市第3魚市場
八戸港での船凍スルメイカの水揚げ=6日、八戸市第3魚市場
盛漁期を迎えた八戸港で漁獲不振が続いている。1~10月の水揚げ累計は、68年ぶりに7万トン割れと低迷した昨年の同期をさらに下回る水準だ。特に、主要魚種の一つであるスルメイカは、日本海で操業中の中型イカ釣り船が自国の排他的経済水域(EEZ)内.....
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 盛漁期を迎えた八戸港で漁獲不振が続いている。1~10月の水揚げ累計は、68年ぶりに7万トン割れと低迷した昨年の同期をさらに下回る水準だ。特に、主要魚種の一つであるスルメイカは、日本海で操業中の中型イカ釣り船が自国の排他的経済水域(EEZ)内で中国船に“締め出される”など苦戦。新型コロナウイルスの影響による魚価低迷も不安材料で、復調への視界は開けていない。[br][br] 八戸市水産事務所によると、1~10月の同港の水揚げ累計は数量4万3519トン(前年同期比6%減)、金額94億6975万円(15%減)にとどまった。[br][br] 近年注目度が高まっている北太平洋のアカイカは、昨年ほど伸びず6522トン(9%減)、23億9718万円(26%減)。イワシも同様の傾向で1万8769トン(23%減)、8億780万円(34%減)となっており、水揚げの大半が北海道東沖からと、三陸沖での漁獲はほとんどなかった。[br][br] 金額では、全魚種の10キロ当たりの平均単価が2176円(10%減)。新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要減の影響が影を落とす。[br][br] 11月以降も見通しは厳しい。今季3航海目となる中型イカ釣り船は現在、スルメ漁に従事しているが、満船で帰港、水揚げしたケースはまだない。[br][br] 漁船関係者は特に、日本のEEZ内の好漁場「大和堆(やまとたい)」に大型の中国漁船が大挙押し寄せ、違法操業を繰り返している事態を問題視。現場には武装した船がいる恐れもあることから、水産庁が9月末から10月下旬まで「安全確保のため一時的に」日本漁船へ自粛を求めたことに強い不満を抱く。[br][br] 日本海は以前から日本、中国、韓国、北朝鮮、ロシアによる「またがり資源」と言われ、外国船の違法操業が頻発。資源の減少に影響を及ぼしている可能性もあるという。[br][br] 11月に八戸港へ帰港したある中型船の漁労長は「なぜEEZ内で操業できないのか。国からも明確な説明がない」と憤り、「中国船や北朝鮮船の問題が解決しない限り、日本のスルメイカ復活はない。こうした現実をもっと知ってほしい」と語気を強める。[br][br] 三陸沖の大中型巻き網船団によるサバ漁は、本格化が昨年より早いものの、魚体が小さいのが気掛かりだ。また、昨年は一定の漁獲量があったイワシも10月の道東沖での漁が終わって以降、ほとんど水揚げのない状態が続く。[br][br] 不漁の長期化で生産や加工、流通といった水産業に関連する全体の先細りが懸念される中、関係者は「漁が上向くように願うしかない」と祈るように話す。八戸港での船凍スルメイカの水揚げ=6日、八戸市第3魚市場