岐路に立つ「ガマズミ」栽培/三戸地方 キーマン死去、生産量にも陰り

三戸町のガマズミ園地で、ゼミ生と共に収穫作業を手伝う岩井邦久教授(左)。特産品としてガマズミ栽培が存続することを期待する=10月28日 
三戸町のガマズミ園地で、ゼミ生と共に収穫作業を手伝う岩井邦久教授(左)。特産品としてガマズミ栽培が存続することを期待する=10月28日 
三戸地方の特産果実「ガマズミ」の栽培が岐路に立っている。高い健康効果が注目された2010年ごろは生産量が年間約20トンだったが、後継者不足などによる農家減少が進み、19年は約2トン止まり。生産・加工の中心を担ってきた三戸町の小野寺昭夫さん(.....
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 三戸地方の特産果実「ガマズミ」の栽培が岐路に立っている。高い健康効果が注目された2010年ごろは生産量が年間約20トンだったが、後継者不足などによる農家減少が進み、19年は約2トン止まり。生産・加工の中心を担ってきた三戸町の小野寺昭夫さん(享年77)も19年に死去するなど活動の推進力が低下した現状だが、関係者は「健康効果は立証されており、特産品として残していきたい」と打開策を模索している。[br][br] ガマズミはスイカズラ科の落葉低木で、もともとは山野に自生。三戸地方では古くから「ジョミ」として親しまれる。赤く熟す実にはビタミンCやポリフェノールが豊富で、かつてマタギが狩猟の際、疲労回復のために口にしていたと伝わるほど栄養価が高い。[br][br] 20年以上研究を続ける弘前大農学生命科学部食料資源学科の岩井邦久教授(57)は「ガマズミは抗酸化作用がとても強い。冷涼で雪が少ない三戸地方の気候も栽培に適しており、特産品としての可能性がある」と話す。[br][br] 同町では1995年に町ジョミ生産組合が設立され、小野寺さんが初代組合長に就任。健康志向の高まりを背景に生産規模は拡大し、設立当初は10戸ほどだった農家数は2010年ごろ50戸に増加。07年には岩井教授を代表に迎え「ガマズミ活用研究会」も発足し、特産品として活用する機運が高まった。[br][br] しかし、生産量の少なさが販路拡大を目指す上での壁となった。大手業者との交渉では一定数量を確保できないことがネックとなり、思うように取引が成立しなかった。高齢化や後継者不足が年々進行し、生産者も減少した。[br][br] また、本業でみそやしょうゆの製造を手掛け、圧搾の技術と設備を持っていた小野寺さんの死去で、活動にブレーキが掛かった。[br][br] 次女の出町郁子さん(47)は「父は『体にいいジョミを多くの人に知ってほしい』と願い、栽培や商品開発に熱意を持って取り組んでいた」と話す。今後について「リピーターもいるので、健康維持の役に立つなら栽培、製造を続けていきたい。もっと知名度が上がってくれたらいいのだが…」と思いを語る。[br][br] 10月28日には岩井教授がゼミ生を連れて来町し、生産者の収穫作業を手伝った。「『ガマズミと言えば三戸』と言われるように存在感を高められれば、今後も生き残っていくはずだ。研究者として、地元の大学として今後も協力していきたい」と力を込めた。 三戸町のガマズミ園地で、ゼミ生と共に収穫作業を手伝う岩井邦久教授(左)。特産品としてガマズミ栽培が存続することを期待する=10月28日