高級食材「ツクネイモ」コロナで需要減、安値懸念

収穫したツクネイモを手に取る佐藤文昭さん=11月上旬、五戸町
収穫したツクネイモを手に取る佐藤文昭さん=11月上旬、五戸町
和菓子の原料などに使われるツクネイモ。青森県南地域で栽培が盛んで、今年も収穫シーズンを迎えているが、新型コロナウイルスによる業務需要の落ち込みで、かつてない安値となることが懸念されている。地元ではあまりなじみがなく、大幅な消費増が見込めない.....
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 和菓子の原料などに使われるツクネイモ。青森県南地域で栽培が盛んで、今年も収穫シーズンを迎えているが、新型コロナウイルスによる業務需要の落ち込みで、かつてない安値となることが懸念されている。地元ではあまりなじみがなく、大幅な消費増が見込めない中、関係者は来年以降の生産に不安を抱いている。[br][br] ツクネイモは「丸いも」とも呼ばれ、主に関西地方や首都圏に出荷される。青森は全国有数の産地で、八戸農協管内では約100人が年間230トンを生産している。和菓子の原料や和食の高級食材として引き合いが強く、高単価で取引されていたが、今年は新型コロナの影響を受け、相場は平年に比べ4割ほど安くなった。[br][br] 五戸町手倉橋地区で約53アールを作付けする佐藤文昭さん(66)は「業界の評価は高いが、コロナの影響が深刻。このままでは肥料代にも見合わないのではないか」と指摘。年齢的に作業がきつくなってきたことも重なり、来年は作付面積を減らす予定だという。[br][br] ツクネイモは、冷蔵して通年流通させるナガイモと異なり、主に関西地方の大手業者が収穫期の11、12月に一年分を一気に確保する。市場で扱う期間が短いため、出荷側はほとんど価格をコントロールできないのが現状だ。[br][br] すりおろしたり油で揚げたりして食べてもおいしいが、地元でほとんど流通せず消費者になじみが薄いため、小売りに回すことも難しい。同農協もこれまで地元消費を促そうと、食べ方を広めるイベントを開いてPRに務めたが、思うように効果が上がっていないのが現状だ。[br][br] 市場価格は、過去に最も安かった2005年の1キロ230円を下回る可能性もあるといい、同農協五戸営農センターの小渡匡進さんは「生産者の意欲が下がることが心配。全国でも産地が少ないので、乗り越えれば強みがあるのだが…」と気をもんでいる。収穫したツクネイモを手に取る佐藤文昭さん=11月上旬、五戸町