【消費増税1年・北奥羽】消費減退、先見えず 「一時的」コロナで激変

消費者の節約志向の高まりを受け、スーパーは生活必需品の価格を下げている=10月上旬、八戸市のユニバース南類家店
消費者の節約志向の高まりを受け、スーパーは生活必需品の価格を下げている=10月上旬、八戸市のユニバース南類家店
2019年10月に消費税率が10%に引き上げられてから1年がたった。今年6月まで続いたキャッシュレス決済のポイント還元制度や軽減税率の導入もあり、北奥羽地方では消費の落ち込みは一時的との見方が大半だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 2019年10月に消費税率が10%に引き上げられてから1年がたった。今年6月まで続いたキャッシュレス決済のポイント還元制度や軽減税率の導入もあり、北奥羽地方では消費の落ち込みは一時的との見方が大半だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で状況は激変。大型小売店の売り上げ調査によれば、個人消費は駆け込み需要の反動減が回復しないうちに、コロナ禍でさらに減退したことが見て取れる。消費者の節約志向の高まりを背景に、スーパー各社では一斉に生活必需品の価格を下げる動きが広がっている。[br][br] 青い森信用金庫の経済概況調査によると、八戸市内にある大型小売店5店舗の売上高は、増税直前の19年9月に前年同月比12・1%増に上昇。同10月は駆け込み需要の反動を受けて12・6%減にダウンし、その後も前年割れが続いた。[br][br] 20年2月は、ほぼ前年並みとなる0・1%減にまで回復したが、月後半から新型コロナの影響が直撃。来店客数が減少し、同3月は増税後を上回る19・0%減に落ち込んだ。同4月は感染拡大後で最大のマイナス幅となる36・7%減。緊急事態宣言の発令を受けた一部テナントの休業に加え、近隣商圏から訪れる客数の減少が大きく響いた。[br][br] 増税とコロナ禍が及ぼす影響は新車購入の動きにも表れている。青森県内の新車登録台数は、駆け込み需要もあって増税後は前年を下回る状況が継続。新生活シーズン前の3月は例年、買い替えも含めて台数が伸びる傾向にあるが、感染拡大の余波で乗用車は前年同月比16・8%減、軽乗用車は11・0%減となった。[br][br] 同信金地域支援室は「消費増税で個人消費が落ち込み、回復途上にあるタイミングで新型コロナが広がった」と分析。軽減税率の対象外で、増税後に反動減を受けた高価格帯の商品は不調が続く格好となった。[br][br] 地元の商業関係者は「新型コロナの収束や経済再生の先行きが見えないため、消費者は改めて増税の負担を実感しているのではないか。節約志向が強まれば、冷え込んでしまった地域経済の回復に時間がかかってしまう」と懸念を示す。[br][br] 生活防衛意識を高める消費者の動向を踏まえ、スーパーなどの小売店では、暮らしに身近な商品を値下げしてアピールしている。北東北で展開するユニバース(八戸市)は、同市のビッグハウス湊店とパワーズU十和田店を除く55店舗で、今年5月から「家計応援」と題した企画を実施中だ。[br][br] 生鮮食品や総菜、加工食品、日用雑貨などの価格を見直し、今月からは対象商品を約360品目に拡大。その後、対象商品の売り上げは伸びているという。年内は同企画を継続し、時季や消費者ニーズに応じて対象商品を随時変更する。[br][br] 商品本部事務センターの中野弘達マネジャーは「コロナ下でライフラインとしてのスーパーの需要は高まっている。時季によって必要な商品をより安く提供していきたい」と話した。消費者の節約志向の高まりを受け、スーパーは生活必需品の価格を下げている=10月上旬、八戸市のユニバース南類家店