時評(10月27日)

欧州で新型コロナウイルス感染が再び拡大し、第2波が猛威を振るっている。米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、欧州の感染者は計600万人を超えた。 米国とインドに次ぐ規模で、各国政府は再び非常事態宣言を出したり、バーや飲食店の夜間営業を禁止.....
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 欧州で新型コロナウイルス感染が再び拡大し、第2波が猛威を振るっている。米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、欧州の感染者は計600万人を超えた。[br][br] 米国とインドに次ぐ規模で、各国政府は再び非常事態宣言を出したり、バーや飲食店の夜間営業を禁止したりするなど規制を強める。欧州連合(EU)との連携を強化し、各国が第2波の感染拡大の克服に全力で取り組むことを期待したい。[br][br] 中でも深刻なのが、スペインとフランスだ。 スペインのサンチェス首相は25日、同日から再び全土に非常事態を宣言すると発表した。大西洋のカナリア諸島を除き、国内ほぼ全ての自治州で午後11時~午前6時の外出を禁止する。[br][br] 3~6月の第1波の規制緩和後に、夏季に人の移動や家族、若者の集まりが増えて第2波が到来。今月、欧州で初めて感染確認者が100万人を超えた。[br][br] フランスもカステックス首相が感染再拡大の深刻化を受けパリなど計9都市圏に導入した夜間外出禁止令の対象を拡大し、県を単位として計54県に適用すると発表した。全人口の約70%が対象。国内の感染確認者は前日から4万1622人増加し、1日当たりの過去最多を更新、総計100万人を超えた。[br][br] これに続き、イタリアのコンテ首相も感染拡大防止策として飲食店の午後6時以降の営業を禁止すると発表。映画館や劇場、ジムも閉鎖される。このほか、感染者数が多い英国とドイツのほか、オーストリアやクロアチアなどでも連日のように新規感染者が過去最多を記録している。今は規制を強化して第2波を全力でしのぐ時だ。[br][br] 一方で、規制強化は経済活動の停滞を招くとの懸念も強い。春の第1波の拡大に対して、各国政府が非常事態宣言やロックダウン(都市封鎖)などで感染拡大を食い止めたが、経済活動が停滞、大きな打撃を受けた。[br][br] 各国とも巨額の政府支出でしのいだが、第2波で同様の事態となった場合、同じ対応を取るのは困難な見通しだ。 欧州経済を再建するためEUは総額7500億ユーロ(約94兆円)の「復興基金」の創設で合意した。最も打撃の大きい加盟国を優先的に支援するべきだろう。[br][br] EUは第2波対策を話し合うオンラインでの非公式首脳会議を近く招集する。「冬とわれわれのクリスマスがどうなるのかは、この先、何週間で決まるだろう」(ドイツのメルケル首相)。EUの重要な役割と取り組みにも期待したい。