衆院議員の任期は2021年10月21日の満了まで、間もなく残り1年となる。現時点では年内の衆院解散・総選挙は見送られる公算が大きいが、青森、岩手両県の各立候補予定者は「常在戦場」の意識で選挙の準備を進めている。[br][br] 各選挙区とも、9月に新政権を発足させた菅義偉総裁率いる自民党と、旧民主党系の合流によって誕生した新・立憲民主党や共産党による「自民対非自民」の戦いが軸となる。新型コロナウイルス対策や経済対策、地方の活性化など課題が山積する中、各党とも対応を加速させる。[br][br] 【青森1区】[br]■三つどもえ濃厚[br][br] 自民党現職の江渡聡徳氏(65)=比例東北=、立憲民主党元職の升田世喜男氏(63)、共産党新人の齋藤美緒氏(40)による三つどもえの争いとなる可能性が濃厚になっている。[br][br] 自民は2017年衆院選で選挙のたびに小選挙区と比例区の候補者を入れ替える「コスタリカ方式」を導入。区割り変更後、初挑戦となる江渡氏は下北や上北の一部といった旧2区の地盤で足場を固め、県都の青森市や東郡で浸透を図る。[br][br] 一方、非自民は野党共闘の行方が焦点。升田氏は旧1区時代から5回挑戦し、比例復活でバッジを付けた経験はあるが、選挙区での勝利はまだない。旧民主党勢力の再結集をてこに議席奪取をうかがう。[br][br] 齋藤氏は19年参院選で野党候補の一本化のため、立候補を取りやめた。現時点で譲る気配はなく、比例と連動し党勢拡大を狙う。[br][br] 【青森2区】[br]■大島氏に田端氏挑む[br][br] 衆院議長を務める自民党現職の大島理森氏(74)の出馬は確定的。9月に名乗りを挙げた共産党新人の田端深雪氏(63)が挑む。立憲民主党も独自候補の擁立に向け、人選を進めている。[br][br] 前回は希望の党と共産の新人2人が大島氏に挑んだが、大島氏が盤石の戦いで12選を決めた。大島氏は次期衆院選の対応について明言していないものの、出馬は既定路線。前回から区割りの変更で選挙区が拡大したが、市部だけでなく郡部にも広がるきめ細やかな組織で浸透を図る。[br][br] 野党は水面下で統一候補の擁立を模索する動きがあったが、共産が元養護教諭で党三八地区委員会役員の田端氏を擁立。党は支持拡大に向け、街頭活動などを展開しており、県議や市議らで積極的にアピールを重ねる。[br][br] 田名部匡代参院議員ら旧民主党の流れをくむ議員が属する立憲民主も独自候補の擁立を目指す。ただ、これまで複数人の名前が浮上するも、最終決定には至っていない。選挙戦までの時間が限られる中、非自民の受け皿となるべく対応を急いでいる。[br][br] 【青森3区】[br]■木村、山内氏一騎打ち公算[br][br] 自民党現職の木村次郎氏(52)と立憲民主党新人の山内崇氏(65)による与野党一騎打ちの構図となる見込みだ。[br][br] 木村氏は急逝した元衆院議員の兄・太郎氏の代わりに、2017年の衆院選に出馬し初当選。故太郎氏や元県知事で父・守男氏らのの地盤を引き継ぎ、再選を狙う。[br][br] 一方、3度目の挑戦となる山内氏は念願の初勝利に向け、地元の大票田・弘前市を中心に非自民勢力の結集が不可欠。小規模の集会を重ねるなど着実に票を積み上げたい。[br][br]【岩手2区】[br]■自民鈴木氏出馬確定的[br][br] 岩手2区は、自民党現職の出馬が確定的。対する野党は、旧立憲民主党と旧国民民主党の合流に伴う県連組織が誕生したばかりで、候補者の擁立作業はこれから本格化する見通しだ。[br][br] 県内の小選挙区で唯一議席を保持する自民は、現職の鈴木俊一氏(67)が10選を狙う。自民の“牙城”を死守するため、党総務会長や五輪相、環境相を務めた実績を存分にアピールして選挙戦に臨むとみられる。[br][br] 野党は、新たな立憲民主党県連が今月発足。11日の結成大会で県連代表に就任した小沢一郎衆院議員は、年内にも2区の候補者を決める考えを示した。[br][br] 野党は2015年の知事選から共闘態勢を確立しており、国政選挙で統一候補を擁立するのが慣例。共産、社民も含め、早期に候補者の一本化に合意できるかが焦点となる。[br][br] 【比例東北】[br]■津島、高橋氏出馬を予定[br][br] 比例東北ブロックには、自民党現職の津島淳氏(54)と、共産党現職の高橋千鶴子氏(61)が出馬を予定する。[br][br] 4選を目指す津島氏は「コスタリカ方式」に伴い、当選を重ねてきた1区から比例に回るため、名簿の上位に登載が見込まれる。[br][br] 高橋氏は6期の実績をアピール。東北唯一の共産議席の死守に向け、選挙区の立候補予定者と連動した活動を展開する。