太子食品創業80周年 工藤社長に展望を聞く

工藤茂雄社長
工藤茂雄社長
三戸町に本社を構え、納豆や豆腐などの大豆食品製造を手掛ける太子食品工業が今月、創業80周年を迎えた。「質の向上と固有価値の創造」「顧客の真の満足の追求」などを経営理念に掲げ、これまでに小分けのパック納豆など業界標準となるアイデアを打ち出して.....
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 三戸町に本社を構え、納豆や豆腐などの大豆食品製造を手掛ける太子食品工業が今月、創業80周年を迎えた。「質の向上と固有価値の創造」「顧客の真の満足の追求」などを経営理念に掲げ、これまでに小分けのパック納豆など業界標準となるアイデアを打ち出してきた。工藤茂雄社長(69)は世界的な指標となっている「SDGs(持続可能な開発目標)」を念頭に、「大豆食品は世界の食のベースとなりうる」と新たな展開を見据えている。[br][br] 1940年から大豆食品を作り続けてきた同社。工藤社長はこれまでの市場ニーズの変化について、時系列順に▽戦後の食糧難で「作れば売れる」時代▽「鮮度」を重視し、徹底的な衛生管理が求められる時代▽遺伝子組み換え大豆が登場し、「安全安心」が価値となった時代―とした上で、現在の潮流について、世界の人口増加を背景にした「SDGsへ対応する時代」と強調する。[br][br] 大豆の将来性については、「タンパク質を摂取する際、肉は生産過程の環境負荷が大きい。水産資源は減少している。そこで、健康にもいい大豆が世界の食のベースになる可能性がある」と指摘する。[br][br] ただ、昔から大豆食になじみがある日本や中国とは違い、欧米では「豆くささ」が敬遠されることがある。そのため「大豆食は欧米で浸透してきた和食の一つであり、その和食の良さを生かした新商品の展開を考えている」と話す。[br][br] 一例として挙げるのが、2017年に発売した油揚げ「きぬ練りおあげ」だ。豆乳とにがりを練った「豆腐クリーム」を米油で揚げることで、しっとりとした食感で、そのままでも食べられる商品を生み出した。[br][br] 「持続可能」は同社にとって、これからも地域に根差していくための重要な目標。大豆は安価な海外産だけでなく、青森県産など国産大豆も一定量を使用し、「産地と密接な関わりを持ち、経済性だけでなく地域の持続性も維持したい」と熱く語る。 工藤茂雄社長