時評(9月27日)

コメの販売委託を受けた農協が生産者に仮払いする2020年産米の「生産者概算金」(60キロ、1等米)が全国的に下落している。 全農青森県本部は、県内の各農協が概算金を決める際に参考とする目安額を15日に決定した。県産主力品種の「まっしぐら」は.....
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 コメの販売委託を受けた農協が生産者に仮払いする2020年産米の「生産者概算金」(60キロ、1等米)が全国的に下落している。[br] 全農青森県本部は、県内の各農協が概算金を決める際に参考とする目安額を15日に決定した。県産主力品種の「まっしぐら」は1万1400円、「つがるロマン」は1万1600円で、前年と比べ共に800円減少。過去最低となった14年以来、6年ぶりに引き下げられた。[br] 慢性的なコメの需要減退に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で外食が落ち込んだ影響により、国内在庫が過剰となっているのが要因。コメ余りが米価を下落させ、生産者の収入減少につながる“負の連鎖”に陥っており、関係機関は担い手の意欲低下を防ぐ手だてを講じてほしい。[br] 近年の概算金の推移をみると、在庫過剰が深刻化した14年にまっしぐらが7300円、つがるロマンが7600円と、前年から共に3200円の大幅減となり過去最低を記録。飼料米への転換など主食用の生産を抑えた影響で、15年以降は徐々に持ち直し、19年まで上昇が続いていた。[br] 20年の下げ幅の理由について、同本部は「新潟などの主産地や岩手など東北各県が既に示している概算金の下げ幅を意識した」と説明。これを受け県南地方の八戸、おいらせ、十和田おいらせの各農協は、同本部の目安額に合わせて概算金を同額に設定した。[br] 八戸農協の山美喜正組合長は「千円以内の引き下げに収まって良かった」との認識を示しつつ、「来年以降の価格は楽観視できない」と警戒感をにじませる。生産者は「下げ幅は想定内」と冷静に受け止めるが、下落傾向の長期化を懸念する。[br] なぜなら県内の民間在庫量は前年同時期よりも多く、20年産米の作柄概況は8月15日時点で「やや良」のため、前年とほぼ変わらない豊作基調の可能性が高い。在庫過剰がさらに膨らむ恐れがある。[br] まっしぐらは外食向けの業務用米の取引が多く、下げ幅が3桁台にとどまったが、ある県南地方の生産者は「さらに下落するようであれば、コメ作りを諦める人が増えるのはないか」と指摘する。[br] JAグループは20年産米の需給安定に向け、長期の計画販売を全国展開する考えだ。新型コロナによる先行きの不透明感が増す中、需要変動への対応や販売対策を通じ、少しでも生産者に還元される取り組みを望む。