十和田市連合PTAが、小中学校の普通教室へのエアコン設置に向けた機運を高めようと、市民から使わなくなった扇風機を募り、各校に無償提供する取り組みを行っている。[br] 目標台数は、各校への聞き取りから158台としていたが、開始から1カ月余りで、目標を100台以上上回る扇風機が市内外から集まっている。この動きが追い風となり、早期にエアコンが完備されることを願う。[br] 文科省が2019年9月時点で調査した公立学校施設の空調(冷房)設備の設置状況では、青森県の小中学校の設置率は、北海道に次ぐワースト2位。普通教室5・6%(全国平均77・1%)、特別教室6・7%(同48・5%)、合計6・3%(同62・8%)と、東北地方の各県と比べても低さが目立った。この時点で、普通教室への設置が100%だった県内の自治体は、五戸町と風間浦村だけだ。[br] この調査の後、県内でもエアコン設置が進んでいる。最新の設置率はまだ公表されていないが、県南地方では三戸、七戸町が全普通教室に設置。今後の整備が決まった自治体もある。[br] 近年の猛暑を経験すると、夏が短い北国だからとも言っていられない。特に上階の教室の暑さは深刻だ。十和田市内のある小学校の3階では、9月に温度計が36度近くを示した日もあったという。自治体ごとの教室環境の違いが、学習格差として影響するのではと危惧する。[br] 同市ではこれまで、エアコンは一部学校のパソコン教室のみだったが、本年度は全校の保健室に設置された。また、新型コロナ対策の一環として、年度内には小学1、2年生の教室と小中学校の図書室などに整備するため、約3億5千万円の補正予算を確保した。[br] 市教委は、全ての普通教室に設置するには総額7億円が必要と試算し、「今後の財政状況を見極めて検討する」としているが、9月市議会で4選出馬を表明した小山田久市長は、喫緊の課題の一つに挙げた。[br] 一方、19年度に全普通教室にエアコンを完備した五戸町。今夏は新型コロナ対策として、こまめに窓を開け、室内を換気しながら使用したという。町教委は「電気代は増えても仕方ない。熱中症予防と換気との両立を徹底した」と説明した。[br] マスクを着けた、暑苦しい夏となった今年。夏はもう終わりだが、いまだ終息が見えないコロナ禍で、来夏は少しでも快適な日常を過ごしたい。今日、エアコンは日常の必需品。行政が本腰を入れる時期に来ている。