天鐘(9月15日)

「官邸の廊下伝いに長官の怒声が響いているそうだよ」。知り合いの中央紙論説委員が“茶飲み話”で教えてくれた。官房長官から新総裁に就任した菅義偉氏に関する“プチ情報”だ▼数年前の話だが想像と実像が妙に一致して納得した。官房長官の菅氏を描いた書籍.....
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 「官邸の廊下伝いに長官の怒声が響いているそうだよ」。知り合いの中央紙論説委員が“茶飲み話”で教えてくれた。官房長官から新総裁に就任した菅義偉氏に関する“プチ情報”だ▼数年前の話だが想像と実像が妙に一致して納得した。官房長官の菅氏を描いた書籍を数冊読んでみた。秋田県の農家に生まれ、高校を卒業後に上京して段ボール会社に就職。働きながら法政大を卒業…と続く▼田中角栄張りの“叩(たた)き上げ”を強調する本と、田舎を嫌って上京したと見なす本と両極だった。薄めの髪と訛(なまり)が残る訥弁(とつべん)から気のいいおじさんと見るか、つぶらな瞳の奥に怜悧(れいり)に光るもの感じ取るかの違いである▼1998年の総裁選で所属する小渕派を割り、梶山静六元幹事長を口説いて擁立。2000年の「加藤(紘一元幹事長)の乱」では森喜朗内閣打倒の先鋒(せんぽう)でひた走り、06年総裁選で安倍晋三首相を担ぎ出した▼見てくれと違い派手な“神輿(みこし)担ぎ”が大好き。安倍氏は07年に辞任するが“禊(みそ)ぎ中”の12年総裁選で「ここを逃せば次はない!」と説得し再擁立(大下英治著『内閣官房長官』)。第2次安倍政権の舞台を作った▼祭りになると“喧嘩(けんか)神輿”を捨て身で担ぎ、変化を呼ぶ勢力結集に才能を発揮してきた。人事と叱責を使いこなす乱世の武闘派。豊臣政権で補佐役に徹した異母弟秀長に自らを重ねていたが、太閤秀吉となっての手腕は―。