【青銀、みち銀統合案】有識者に聞く(下) 青森中央学院大・山本俊准教授

青森銀行とみちのく銀行は、長年しのぎを削ってきたライバル同士。人口減少が進み資金需要が先細りする中で、これまでのように競争関係を続けていけば、結果的に体力が奪われ、存続が危ぶまれる可能性も高い。お互いに経営状況が健全なうちに、前向きな姿勢で.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 青森銀行とみちのく銀行は、長年しのぎを削ってきたライバル同士。人口減少が進み資金需要が先細りする中で、これまでのように競争関係を続けていけば、結果的に体力が奪われ、存続が危ぶまれる可能性も高い。お互いに経営状況が健全なうちに、前向きな姿勢で、経営統合に踏み切る選択肢は有力だ。[br] 全国的に本業の貸し出しと手数料が営業経費を下回る赤字の地銀が増えている。大きな収益が見込める新規事業も見当たらず、将来的な事態の好転も見込めない。[br] 金融庁は経営基盤の強化を目的に、地銀再編を促そうと、11月に施行される独禁法の特例法を成立させた。10年間限定の法律なので今後、再編の動きが加速していくだろう。[br] 同庁が2018年に発表したレポートで、青森県は1行単独でも採算が取れない地域とされた。両行の経常収益は減少傾向にある。みち銀は19年度決算で赤字だった。店舗や人員の削減を進めているが、青銀との競争関係が前提なので、これ以上の削減は難しいのではないか。[br] 両行の統合を考えると、店舗網が重なっているため、コスト削減の効果が高い。また、営業地盤も同じなので、ビジネスマッチングを効率的に行うことができるなどメリットは大きい。[br] マイナス要素として挙げられる寡占化は、金融庁の調査でも、貸出利子率への上昇圧力につながらないとされている。特例法の適用となれば、定期的な報告義務もあるため、サービスの低下は制度上防がれる。[br] ただ、競争関係が無くなれば、顧客に選ばれる努力が減る。需要がない地域から撤退し、金融弱者が生まれる懸念もある。[br] 一つの組織になることも容易ではない。両行の企業文化は大きく違い、すぐに「一緒に頑張ろう」とはならないのではないか。役員配分なども将来の組織を左右するだろう。[br] 選択肢としては県外の銀行と統合し、競争関係を維持する道もある。地域経済の縮小は避けられないから、2行体制が立ちゆかなくなるのは目に見えている。[br] 地方の金融機関は地域の基盤的サービスで、一定の水準を維持していくことが第一だ。経営基盤の強化を図り、地元企業をしっかり支援できる体制作りへ、先を見据えた判断をしてほしい。[br][br]【略歴】 やまもと・しゅん 青森公立大大学院卒。経営経済学博士。専門は地域金融機関や地域産業の経済分析。北海道出身。39歳。