ハード工業(八戸)所有、高速フレーム溶射機が「溶射遺産」に

溶射遺産に認定された「HVAF溶射装置」と学会誌を紹介する山形琢一さん(右)。左は山形虎雄社長=8月、八戸市
溶射遺産に認定された「HVAF溶射装置」と学会誌を紹介する山形琢一さん(右)。左は山形虎雄社長=8月、八戸市
産業機器の修理などを手掛ける「ハード工業」(八戸市)が所有する初期型の高速フレーム溶射機「HVAF溶射装置」が、日本溶射学会(事務局・大阪府東大阪市)が認定する7例目の「溶射遺産」に選ばれ、7月発行の学会誌に掲載された。溶射遺産の認定は東北.....
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 産業機器の修理などを手掛ける「ハード工業」(八戸市)が所有する初期型の高速フレーム溶射機「HVAF溶射装置」が、日本溶射学会(事務局・大阪府東大阪市)が認定する7例目の「溶射遺産」に選ばれ、7月発行の学会誌に掲載された。溶射遺産の認定は東北地方では初めて。[br] 溶射は表面処理加工の一種で、溶かした金属などを対象物に吹き付けてコーティングする技術。溶射被膜を形成して耐摩耗性を向上させるほか、防食や防錆(ぼうせい)といった新たな機能を加える表面改質の効果がある。[br] 高速フレーム溶射は、タングステンカーバイトなどの超硬質材料を溶射するのに適した手法で、超音速で噴出される燃焼炎のスピードと熱エネルギーを利用してコーティングする。[br] 同社が所有するHVAF溶射装置は「エアロジェットスプレーロケットガン150型」の名称で、高速フレーム溶射技術の黎明(れいめい)期に当たる1993年製。米国の企業が製造し、日本国内には数台しかなかったが、ハード工業の創業者で元会長の山形琢一さん(63)が95年に導入したという。[br] 学会誌に寄稿した山形さんは「当時の最先端の装置で、地方の企業でも中央に引けを取らない技術を目指して購入した。この装置が今のハード工業の基礎になっている」と振り返る。[br] 経営を引き継いだ山形虎雄社長(36)は「自分自身はこの装置を使ったことはないが、溶射遺産への認定を機に、原点に立ち返って溶射にしっかりと取り組んでいきたい」と話した。溶射遺産に認定された「HVAF溶射装置」と学会誌を紹介する山形琢一さん(右)。左は山形虎雄社長=8月、八戸市