牛の妊活は食の改善から 給餌アプリ、北里大准教授が開発

給餌アドバイスアプリを紹介する鍋西久准教授=8月下旬、十和田市
給餌アドバイスアプリを紹介する鍋西久准教授=8月下旬、十和田市
ICT(情報通信技術)を活用した家畜の飼育管理について研究する北里大獣医学部(十和田市)の鍋西久准教授(46)は、繁殖牛の受胎率を向上させるため、繁殖農家向けの給餌アドバイスアプリを開発した。8月に同大発のベンチャー企業を設立、今秋にもサー.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 ICT(情報通信技術)を活用した家畜の飼育管理について研究する北里大獣医学部(十和田市)の鍋西久准教授(46)は、繁殖牛の受胎率を向上させるため、繁殖農家向けの給餌アドバイスアプリを開発した。8月に同大発のベンチャー企業を設立、今秋にもサービスの提供を始める。アプリは、母牛の体重や餌などの情報を入力すれば、栄養の過不足がレーダーチャートで表示される仕組みで、理想的な給餌をサポートすることで、農家の生産性向上につなげたい考えだ。[br] 鍋西准教授によると、近年、繁殖牛の繁殖率の低下が課題となっており、その一因に栄養の過不足があるという。[br] 一方、ほとんどの農家にとって、客観的なデータを基に餌を与えることは難しく、個人の経験や勘から与えているのが現状だ。[br] 鍋西准教授は、2018年度に東京理科大などと共に、人工知能(AI)を使った牛の飼養管理技術の開発に着手。AIが牛の画像から栄養状態を評価し、繁殖率を高めるために適切な餌の量を算出、自動で給餌するシステムで、本年度の完成を目指している。アプリはこの過程で鍋西准教授が開発した。[br] アプリでは、繁殖牛の体重を入力し、妊娠前後の5段階のステージを選択。与える餌の種類と量を入力すれば、エネルギーやタンパク質など、必要な栄養に関する過不足が、レーダーチャートで示される。[br] 餌は干し草、生草、濃厚飼料、かす類など計約700種類を網羅。自給飼料についてもアプリへの追加登録が可能だ。これまでパソコンの給餌設計ソフトはあったが、一般の農家が扱うのは難しかった。[br] 鍋西准教授は「農家がなじみやすいよう、結果が一目で分かるシンプルなアプリにした。バランスよく餌を与え、繁殖成績の向上につなげてほしい」と話す。[br] アプリは、同大発のベンチャー企業「ライブストックジャパン合同会社」で提供。10月以降の公開を目指しており、基本ソフト「iOS」「アンドロイド」に対応する。[br] 一方、同社はアプリに先駆け、牛の性周期別の6種類の卵巣を忠実に再現した模型の販売を始めた。昨年、平川市の企業と共同開発した、樹脂製のトレーニング教材を商品化した。[br] 同社の最高経営責任者(CEO)も務める鍋西准教授は「経営の大規模化や担い手不足に対応するため、効率的に畜産技術を伝承する必要がある。畜産の専門家だからこそ提供できるサービスを展開していく」と今後の抱負を語った。給餌アドバイスアプリを紹介する鍋西久准教授=8月下旬、十和田市