時評(8月23日)

青森県立十和田西、六戸、三本木農業の3高校を統合した三本木農業恵拓(けいたく)高(三農恵拓)が2021年4月、開校する。新校名は、広く浸透している三農を残しつつ、十和田地域に関わる開拓の精神などを新たに盛り込んだ。3校が培ってきた強みを結集.....
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 青森県立十和田西、六戸、三本木農業の3高校を統合した三本木農業恵拓(けいたく)高(三農恵拓)が2021年4月、開校する。新校名は、広く浸透している三農を残しつつ、十和田地域に関わる開拓の精神などを新たに盛り込んだ。3校が培ってきた強みを結集、生徒の未来の可能性を切り開き、人生に恵を与える学校になってほしい。[br] 統合は、県教委が進める県立高校再編第1期計画(2018~22年度)に基づく。三農恵拓は三農の校舎を活用し、約52万平方メートルの広大な敷地を持つ農業教育の「拠点校」としての位置付けも引き継ぐ。[br] 農業の専門4学科と、普通科を設置。同校によると、「農業」を冠する高校に普通科が併置されるのは全国的にも珍しい。[br] 三農内にある上北地区統合校開設準備室(室長・遠藤剛三農校長)では、新たな教育課程の検討が進んでいる。特に注目したいのが普通科で、三農の農業分野、十和田西が取り組んできた観光分野を取り入れた新科目を一から作るという。[br] 遠藤室長は「日本で一番面白い普通科を目指す」と強調する。独自のノウハウを生かした普通科は、三農恵拓の大きな売りになる可能性を秘めている。[br] ただ、現時点では、“新生・三農”の印象が強いように感じる。十和田西と六戸の要素をどう継承するのか。授業以外でもよい。開校まで残り約7カ月となるが、地元関係者の声に今一度、耳を傾けてみてもよい。[br] 3校の成り立ちを振り返ると、三農は1898年、県の農業振興を担う技術者の育成を目指し、県農学校として創立されたのが始まり。県内では弘前、八戸に次ぐ歴史を持つ県立高だ。[br] 十和田西と六戸は、高校進学率向上などを背景に誕生。いずれも住民の強い要望があった。[br] 十和田西は1954年度に設置された三農十和田分校が前身で、三本木の分校になった後、89年度に独立開校を果たした。[br] 六戸は81年度開校。当時、高校設置は六戸町にとって悲願であり、旧十和田市との誘致合戦を繰り広げた末、創設された。[br] 「生徒急減期」だ。県教委の第1期計画では、15校の統合や募集停止が決定している。この中には、統合案に抵抗した五戸や、入学者確保に窮した田子など、伝統が受け継がれないまま閉校する高校もある。[br] 県教委は第2期計画(23~27年)を21年度に策定するとしており、今後も再編が続く。対象校の関係者全てが納得する形は難しいが、三農恵拓が成功例と言われる学校になればと願う。