五輪の素晴らしさ後世へ 自宅を「博物館」に/元体育教師の武山さん(八戸出身)

「五輪博物館」を自宅に設けた武山正伸さん=8月上旬、埼玉県川越市
「五輪博物館」を自宅に設けた武山正伸さん=8月上旬、埼玉県川越市
延期後の開催まで1年を切った東京五輪・パラリンピック。新型コロナウイルスの影響で、いまだ予断を許さず盛り上がりに欠ける今こそ五輪の素晴らしさを後世に語り継ぎたい―。埼玉県川越市の自宅に「五輪博物館」を作り、こうした思いでPRに熱を入れるのは.....
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 延期後の開催まで1年を切った東京五輪・パラリンピック。新型コロナウイルスの影響で、いまだ予断を許さず盛り上がりに欠ける今こそ五輪の素晴らしさを後世に語り継ぎたい―。埼玉県川越市の自宅に「五輪博物館」を作り、こうした思いでPRに熱を入れるのは武山正伸さん(71)=八戸市出身=だ。幼少の頃は大の運動嫌い。そんな武山さんが後に体育教師を務める人生の転機となったのは、1960年代に開かれた二つの五輪だった。[br] 小学生時代、転校先の三戸小で跳び箱ができなかったのはクラスで一人だけ。体育の授業が憂うつで仕方なかった小学6年の武山さんがある日、居残りを命じた先生とテレビで見たのが60年のローマ五輪だった。「アジアの鉄人」と称された陸上10種競技の台湾の楊伝広(ようでんこう)が続々とトップをもぎ取る。「かっこいい」。そこから人生が変わった。[br] 踏み固めた家の畑で特訓を重ね、青森県立三戸高陸上競技部では県大会で上位入賞するまでに。64年東京五輪はちょうど1年生の時。近所の家でテレビにかじり付き、聖火リレーの伴走に加わる幸運にも恵まれた。「まるで夢を見ているようだった」。進学した国士舘大では体育史を専攻し、卒業論文のテーマは「古代ギリシャにおける古代5種競技の意義」。五輪に魅せられた武山さんは卒業後、憧れの体育教師の道に進んだ。[br] 生徒の「駆け込み寺」だった自宅の一部を使い、今年6月に博物館の一般公開を開始。高校時代にアルバイトの給料で買った写真集や聖火リレーで実際に着たランニングシャツなど約300点の記念品を並べた。[br] 現在は、新型コロナの影響で、見学は地元の教育関係者が中心だが、収束した際には、より多くの人に見てもらいたい考えだ。[br] 思い出の詰まった展示に「心が伝わらなければ意味がない」と力を込める武山さん。「誰かが56年前の東京五輪を語り継がなければ。来年の開催には正直不安もあるが、あの感動をもう一度味わいたい」と話した。「五輪博物館」を自宅に設けた武山正伸さん=8月上旬、埼玉県川越市