野党第2党の国民民主党が解党し、第1党の立憲民主党と新党を結成する方針を決めた。9月中の結党を目指すが、国民の玉木雄一郎代表らは政策の不一致などを理由に不参加を表明。新党が源流である旧民進党への単なる“回帰”にならないのか注視していきたい。[br] この合流は昨年12月、立民の枝野幸男代表が統一会派を組む国民、社民両党などに呼び掛けたのがきっかけだ。今年1月には立民、国民の間で合意寸前だったが、「立憲民主」とする党名などに玉木氏が難色を示し、いったん頓挫した。[br] 立民側は先月以降、両党を解散し党名を投票で決定するという譲歩案を提示。両党の支援組織である連合が合流を後押しする中で、綱領や規約などの調整から玉木氏を外し、両党の幹事長、政調会長レベルで一致を見た。玉木氏は消費税減税や憲法論での方針擦り合わせも求めたが、受け入れられなかった。[br] 立民側からは、事あるごとに条件を持ち出す玉木氏が合流に否定的と映ったのだろう。旧民主党政権時代、消費税増税を巡って対立し党が分裂しただけに、玉木氏の言い分もある程度理解できるが、党内をまとめる力量には疑問符が付いた。[br] 合流は両党にとり「苦し紛れ」の面がある。国民は共同通信社の世論調査で政党支持率が1%台と低迷し続け、現状では年内にも取り沙汰される衆院選を戦えないとの声が根強くあった。[br] 一方、立民は日本維新の会副代表の吉村洋文大阪府知事が新型コロナウイルス対応で注目を浴びる中、支持率が一時維新に追い抜かれた。このため枝野氏の求心力低下が指摘され、新たな局面展開に迫られていた。[br] 現在の議席数は衆参合わせ立民が89、国民は62で、合流新党は無所属議員グループを含め140人超の規模になる見通し。今後、玉木氏ら国民の残留組との間で「分党」などの手続きが行われるが、一定程度しこりは残るかもしれない。[br] しかし「敵」を間違えてはならない。コロナ対策を巡る混乱など弊害が目立ってきた安倍長期政権と、自浄作用を低下させている与党なのだ。[br] 今度の野党再編は巨大与党と対峙(たいじ)するための第一歩にすぎない。まずは野党全体が連携し、与党側が拒否する臨時国会の早期召集への“圧力”を強めるべきだ。衆院選に向けては、共産党などとの協力に加え、全47都道府県で小選挙区への候補擁立を目指す維新や、消費税率5%への減税を唱えるれいわ新選組との調整も必要になろう。