再処理工場の完工延期 対策工事増、22年度上期に/原燃

三村申吾知事(手前右から2人目)に使用済み核燃料再処理工場の完工延期を表明する増田尚宏社長(左)=21日、青森県庁
三村申吾知事(手前右から2人目)に使用済み核燃料再処理工場の完工延期を表明する増田尚宏社長(左)=21日、青森県庁
日本原燃は21日、使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)の完工時期を2021年度上期から22年度上期へ1年先送りすると発表した。新規制基準の審査合格後に全体工程を精査した結果、安全対策工事の物量が増加したのが主な要因。延期は時期を明示しなかっ.....
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 日本原燃は21日、使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)の完工時期を2021年度上期から22年度上期へ1年先送りすると発表した。新規制基準の審査合格後に全体工程を精査した結果、安全対策工事の物量が増加したのが主な要因。延期は時期を明示しなかった例を除き24回目。完工延期の報告を受けた青森県の三村申吾知事は、官房長官ら関係閣僚と議論を交わす核燃料サイクル協議会の開催を国に要請する方針を表明した。[br] 原燃は同日午前に取締役会を開き、完工延期を正式に決定。午後に県と村に報告した。[br] 原燃の増田尚宏社長は記者会見で、「竜巻防護対策の一環として、屋上にある一部の冷却塔を地上に移設することで、安全対策工事の物量が増加した」と理由を説明。審査期間に最低1年程度がかかるとみられる安全対策工事の本格着手に必要な詳細設計の認可(設工認)は要因ではない―と否定した。[br] その上で、「原子力規制庁と設工認のヒアリングを頻繁に行うなど、(審査の迅速化に向けて)内容が詰まってきているという手応えがある」と強調。10月から分割して申請予定の設工認で、遅くとも21年度内に全て認可を得たいとの考えを示した。[br] 06年に開始した試運転(アクティブ試験)で国の使用前検査を唯一終えていないガラス固化工程は、4月から始まった新検査制度に基づき、使用前事業者検査や国の使用前確認などで性能を確認する方針。[br] 県や村と安全協定を締結した後の操業開始目標は22年度内に設定。試運転で配管と貯層に残ったプルトニウムなどの溶液や高レベル放射性廃液を処理してから、使用済み燃料のせん断を含めた本格的な操業に移るという。[br] 新基準の審査が継続している、再処理工場の製品を燃料に加工するMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料加工工場(同村)の完工目標は、現時点で22年度上期から先送りする考えはないとした。[br] 増田社長との会談後、取材に応じた三村知事は「とにかく安全を徹底することを忘れないでほしい」と求めた。サイクル協議会の開催要請に向け、来週中に柏木司副知事を国に派遣する意向を示した。三村申吾知事(手前右から2人目)に使用済み核燃料再処理工場の完工延期を表明する増田尚宏社長(左)=21日、青森県庁