天鐘(8月8日)

「空振り」や「見逃し」といえば野球用語を思うが、実は気象庁でも使っている。毎日の天気予報の評価として、空振りや見逃しが記録として残されているそうだ▼たとえば「雨が降る」と予想したのに、外れて降らなければ「空振り」。逆に「降らない」と言って、.....
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 「空振り」や「見逃し」といえば野球用語を思うが、実は気象庁でも使っている。毎日の天気予報の評価として、空振りや見逃しが記録として残されているそうだ▼たとえば「雨が降る」と予想したのに、外れて降らなければ「空振り」。逆に「降らない」と言って、降ってしまうと「見逃し」になる。予報士にしてみればいずれとも手痛い「アウト」だろうが、表現としては興味深い▼先月末、関東地方などに緊急地震速報が出た。一瞬、私たちも驚いたが、結果的に揺れは観測されず誤報となった。「ご迷惑をかけた」と、当の気象庁は平謝り。これも豪快な空振りに違いない▼確かに首都圏では電車が止まるなど混乱した。だが、逆にこれが「見逃し」だったら、どうだろう。不意打ちの怖さは誰もが知る。身構えたが、何もなかった―なら、それはそれでいい。「空振りを恐れるな」は野球でも言う▼地震の正確な予知は難しい。麻縄に徐々に力を加え、それが切れる時と個所を特定するのにも似ていると書いたのは、「天災は忘れた頃に」の寺田寅彦。その予報技術は今なお途上。ここは空振りもやむなし、といったところか▼もっともネットでは今回、大方が同庁に好意的らしい。「おわびなんていい」「誤報で良かった」の声がある。ちなみに2007年に始まったこの速報、これまで出たのは226回。うち空振りは3度目だという。