天鐘(8月4日)

上下を逆にする逆さ箸、箸を持つ手で器をつかむ持ち箸、嫌いな物を除(の)ける撥(は)ね箸、迷い箸に探り箸、刺し箸…。箸の“禁じ手”の数々で、挙げれば切りがない。親の小言が「箸の上げ下ろし」に集中する筈(はず)である▼箸文化は世界の3割。ナイフ.....
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 上下を逆にする逆さ箸、箸を持つ手で器をつかむ持ち箸、嫌いな物を除(の)ける撥(は)ね箸、迷い箸に探り箸、刺し箸…。箸の“禁じ手”の数々で、挙げれば切りがない。親の小言が「箸の上げ下ろし」に集中する筈(はず)である▼箸文化は世界の3割。ナイフとフォークも3割で、残り4割は手指だという。箸は米が主食のアジア、ナイフとフォークは肉類が多い欧米、手指はイスラム圏に多い▼最近は日本料理や中華料理が人気で、欧米にも箸文化が浸透している。だが、一口に「箸文化」と言っても国によってマナーは違う。日本で自分の箸を使って料理を取り分けたりすると「直(じか)箸」と言って嫌われる▼一方、大皿文化の中国では客に自分の箸で取り分けるのが親愛の証し。あらかじめ小皿に盛り付けておくと他人行儀に感じられるのだとか。だが、2003年のSARS以降、この“おもてなし”に疑義が―▼直箸は非衛生的で、皆で使う「取り箸」を普及させる意見書が全人代に提出された。その点、日本料理は衛生面は勿論、調理段階でも魚専用の真魚箸(まなばし)や野菜用の菜箸と使い分け、食材の移り香も嫌う気の配りよう▼些末(さまつ)な箸の上げ下ろしだが、新型コロナで国も「新生活様式」を掲げて感染防止に躍起。フェースシールドを装着し横一線に並ぶ飲み会には違和感を覚えたが、まずは箸の上げ下ろしを身に付けたい。8月4日(はし)は語呂合わせで箸の日。