再処理工場正式合格受け 核燃裁判、議論本格化へ/原告団「早期決着と市民運動再燃に」

核燃裁判の本格化で「市民運動の再燃につなげたい」と語る浅石紘爾代表=八戸市
核燃裁判の本格化で「市民運動の再燃につなげたい」と語る浅石紘爾代表=八戸市
日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)が29日、国の原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査に正式合格した。審査のために長く停滞していた再処理工場事業指定取り消しの行政訴訟は今後、審理が本格化する見通しだ。八戸市に事務局を構える.....
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 日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)が29日、国の原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査に正式合格した。審査のために長く停滞していた再処理工場事業指定取り消しの行政訴訟は今後、審理が本格化する見通しだ。八戸市に事務局を構える原告側の核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団は、工場を操業させないために早期決着を図りたい考えだ。一方、被告側の国は「適切に訴訟活動を行っていく」としている。[br] 原告団は1989年以降、同村に立地する核燃料サイクル4施設の許可取り消しを求めて提訴。ウラン濃縮工場と低レベル放射性廃棄物埋設施設については最高裁で敗訴している。[br] 93年に相次いで提訴した高レベル放射性廃棄物貯蔵管理施設と再処理工場はいまだ係争中。青森地裁での裁判はそれぞれ111回、110回を数える。[br] これだけの回数を経てもなお、裁判での論点は明確になっていない。一つの要因が、2011年3月の東京電力福島第1原発事故の影響で、被告となる国の対象機関が旧原子力安全・保安院から規制委に変更されたためだ。[br] その後の弁論で、国側は新基準の審査(14年1月開始)の最中である―として、旧原子力安全委員会の既許可の内容や、原告団の主張に対応する新基準の考え方の説明を続けている。[br] 原告団は再処理工場に関して170を超える準備書面を提出。裁判での審理が本格化すれば、専門家の話を聞く証人調べを交えて▽工場直下の「六ケ所断層」の存否▽火山噴火の影響▽航空自衛隊三沢基地のF35戦闘機を考慮した航空機落下評価▽技術が未確立な中での重大事故のリスク―などの点で争っていく考えだ。[br] 浅石紘爾代表(79)は裁判が足かけ27年に及ぶ中、反核燃の市民運動は衰退している―と説明。「裁判闘争をしっかり続けることで市民への一つの刺激となってほしい」と強調する。操業開始前に行政訴訟の結論が出ない場合は、民事訴訟で差し止めの仮処分を求める方針。[br] 一方、被告側の規制委事務方の原子力規制庁担当者は取材に「(今回出された)再処理事業の変更許可の内容も含め、引き続き裁判所の理解を得られるよう適切に訴訟活動を行ってまいりたい」と述べた。核燃裁判の本格化で「市民運動の再燃につなげたい」と語る浅石紘爾代表=八戸市