天鐘(6月24日組)

大河ドラマの『麒麟がくる』。一時休止前の放送は「桶狭間の戦い」を描いた。2千の兵で2万5千の大軍を破ったとされる歴史の転換点。天下をにらんだ今川義元の夢は潰(つ)いえ、織田信長が時代の主役に躍り出る▼世紀の番狂わせは奇襲で語られることが多い.....
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 大河ドラマの『麒麟がくる』。一時休止前の放送は「桶狭間の戦い」を描いた。2千の兵で2万5千の大軍を破ったとされる歴史の転換点。天下をにらんだ今川義元の夢は潰(つ)いえ、織田信長が時代の主役に躍り出る▼世紀の番狂わせは奇襲で語られることが多い。その裏で信長は伏線を張り巡らせた。工作員による諜報(ちょうほう)、陽動を狙った先制攻撃…。敵将を討ち取った一番槍(やり)でなく、所在を内報した隠密を最大の功労者とした▼敵方に偽状を送りつけ、自ら手を下すことなく、寝返った家臣を葬ったこともある。情報によって人は動く。それを知る権力者は、善きにつけあしきにつけ巧みに操ろうとしてきた。昔も今も変わらない▼空を舞う書状を巡る挑発の応酬は、どこへ行き着くのだろう。体制批判のビラは韓国側が50万枚、北朝鮮側が1200万枚とも。北は報復の軍事行動を「保留」と伝えたが、既に南との連絡事務所は瓦礫(がれき)と化した▼情報を徹底管理し、思想を統制してきた独裁国家である。一方、現下の検閲には限界があろう。「人の口に戸は立てられぬ」のも世の常。“有害なうわさ”の拡散に過剰反応するほど疲弊しているようにも映る▼ほほ笑み外交から一転、むき出しの敵意は、融和を拒む意思表示か、見返りを求める秋波か。朝鮮戦争が勃発ぼっぱつしたのは70年前。導火線となった東西冷戦の終結から30年余を経ても、南北の雪解けが遠い。