「“奥南部”漆物語」日本遺産に認定 二戸市、八幡平市が共同申請

日本遺産に認定された“奥南部”漆物語(写真はコラージュ。左上から時計回りに浄法寺漆を塗る塗師、漆掻き職人、漆器)
日本遺産に認定された“奥南部”漆物語(写真はコラージュ。左上から時計回りに浄法寺漆を塗る塗師、漆掻き職人、漆器)
文化庁は19日、有形・無形の文化財を生かして地域の魅力を発信する「日本遺産」に、二戸市と岩手県八幡平市が共同申請した「“奥南部”漆物語~安比川流域に受け継がれる伝統技術~」を認定した。今後両市は協議会を設立し、伝統文化の継承や観光客の誘客促.....
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 文化庁は19日、有形・無形の文化財を生かして地域の魅力を発信する「日本遺産」に、二戸市と岩手県八幡平市が共同申請した「“奥南部”漆物語~安比川流域に受け継がれる伝統技術~」を認定した。今後両市は協議会を設立し、伝統文化の継承や観光客の誘客促進を目指す。[br] 両市を流れる安比川周辺での漆器製作は、二戸市の古刹・天台寺の僧侶が、日々の食事に使うために作った器が始まりとされる。[br] 同川流域には木地師や塗師、漆掻きが多く住み、地域で一体的に漆器製作に取り組み、漆文化を継承。特に同市の「浄法寺漆」は国産漆の生産量の7割を占め、世界遺産の日光東照宮(栃木県日光市)などの修復にも使われている。[br] 日本民俗学の祖とされる柳田國男氏は著書で、同川流域を「奥南部」と称している。二戸市によると、多くの人が奥南部の漆の物語に思いをはせながら、伝統に支えられた漆器で地元の食材や地酒を味わってもらいたい―などの思いをタイトルに込めたという。[br] 認定に関しては▽ストーリーが漆を軸に展開して分かりやすい▽伝統技術、漆器、食の組み合わせがインバウンドへの訴求力があり、持続可能な取り組みを想定している▽地域性や民芸、日光との関連が面白く、漆生産の一連の工程にかかる遺産が残されている―の3点が評価された。[br] 同日、二戸市役所で藤原淳市長と田村正彦八幡平市長が会見。藤原市長は「喜びを市民や全国で漆を応援してくれる人と分かち合いたい。多くの観光客が安比川周辺の原風景や漆産業に心を打たれ、好きになってくれれば」と述べた。[br] 同市で漆器を製造する塗師三角裕美さん(39)は「観光客の受け入れ体制を整え、認定をきっかけに地域が盛り上がってほしい」と期待した。[br] 同庁は本年度、日本遺産として、新たに全国の21件を認定。2015年度からの累計で104件となり「20年度までに100件程度」とした目標に達成したため、当面は追加しない。日本遺産に認定された“奥南部”漆物語(写真はコラージュ。左上から時計回りに浄法寺漆を塗る塗師、漆掻き職人、漆器)