天鐘(6月12日)

シマウマはなぜ白黒の縞模様なのか。防虫効果があるという。光が毛色に反射して散らばり、深刻な感染症を媒介するハエ類の知覚を乱す。過酷なサバンナで生き残るための適応。研究は数多いが、いまだ定説はない▼白黒の謎が深いのはジャイアントパンダも同じ。.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 シマウマはなぜ白黒の縞模様なのか。防虫効果があるという。光が毛色に反射して散らばり、深刻な感染症を媒介するハエ類の知覚を乱す。過酷なサバンナで生き残るための適応。研究は数多いが、いまだ定説はない▼白黒の謎が深いのはジャイアントパンダも同じ。主食の竹では十分に栄養を蓄えられず、冬眠ができない。山岳を移動して1年を過ごす。外敵は皆無に等しいが、胴体の白は雪の中で、脚の黒は森の中で保護色になる▼理由が明確でないとしても、ぬいぐるみのような愛らしさこそ、生き物としての“最大の武器”かもしれない。日本中が一挙手一投足に沸いた熱狂を思い起こす。上野動物園のシャンシャンが3歳になった▼パンダは世界の人気者。一方で悲劇の主人公でもある。中国の山奥でひっそり暮らす珍獣が発見されたのは150年前。存在が知れ渡り、毛皮目当ての乱獲を招く。突如として出現した“捕食者”はヒトだった▼ようやく保護運動が始まったのは1980年代。飼育繁殖、生息地の保全、狩猟の取り締まりが活発化する。かつて千頭と推定された個体数は1800頭にまで回復。それでも脅威から完全に脱してはいない▼パンダも、シマウマの仲間も。レッドリストの「絶滅危機」は3万種に上る。趣味や営利目的の密猟、外来種の持ち込み、森林伐採や環境汚染…。自然の摂理を乱すのは、いつも人間である。