天鐘(5月30日)

タイで白い象は神聖な存在。伝承によると、お釈迦(しゃか)様の生母は白象が胎内に入る夢をみて、身ごもったことを知る。仏教の開祖の前世とされ、かつ国王に献上される威厳の象徴。かつては国旗にも描かれていた▼国王は家臣に貴重な白象を贈ったという。ね.....
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 タイで白い象は神聖な存在。伝承によると、お釈迦(しゃか)様の生母は白象が胎内に入る夢をみて、身ごもったことを知る。仏教の開祖の前世とされ、かつ国王に献上される威厳の象徴。かつては国旗にも描かれていた▼国王は家臣に貴重な白象を贈ったという。ねぎらいではなく、失脚を狙って。賜り物だけに重労働には使えず、捨てることもできない。えさ代の負担に悲鳴を上げ、政変を企てる余力もなくなる―との算段だ▼英語で白象は「ホワイト・エレファント」、意味は「無用の長物」。大切なものが転じて厄介な存在になるとの逸話による。白くて取り扱いに困るもの…。地方でも行き渡り始めた布製のアベノマスクである▼首相の肝いりで配布を表明してから2カ月。狂騒曲はいずこへ、不織布マスクを山積みにする店すらある。「今更」という冷ややかな反応が感謝を上回る。政府は品薄解消、価格低下の効果があったと強弁するが▼衛生用品でありながら不良品が相次いだ。発注に関する情報を出し渋ったのも不可解だった。安心感を醸成するはずの秘策が、不信感を増幅させる結果に。内閣支持率の急落と無縁ではない▼解体して大きなマスクに仕立てたり、医療機関に寄付したり。姿を変えて還付された税金の使い道に、国民が頭を悩ませるのはなぜ。小欄は非常用として防災袋に入れて活用するつもりだが、待てど暮らせど届かない。