【新型コロナ】「ごく当たり前の光景」が戻りつつある八戸市中心街/未知のウイルスに市民ら警戒心は消えず

緊急事態宣言が解除され、八戸市中心街でも飲食店が徐々に再開。感染予防対策を講じながら、客足の回復を願っている=5月下旬、同市
緊急事態宣言が解除され、八戸市中心街でも飲食店が徐々に再開。感染予防対策を講じながら、客足の回復を願っている=5月下旬、同市
新型コロナウイルスの感染拡大で、深刻な影響を受ける業種の一つが飲食業だ。北東北有数の歓楽街として知られ、多くの居酒屋やバーが立ち並ぶ八戸市中心部。外出自粛によって客足が離れた店では、料理のテークアウトやデリバリーなどで、何とか苦境に耐えてき.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、深刻な影響を受ける業種の一つが飲食業だ。北東北有数の歓楽街として知られ、多くの居酒屋やバーが立ち並ぶ八戸市中心部。外出自粛によって客足が離れた店では、料理のテークアウトやデリバリーなどで、何とか苦境に耐えてきた。国の緊急事態宣言が東京など一部の都道府県を除き解除された14日以降は、営業を再開する店も増えた。夜の街を歩くと、店内の座席間隔を広げるなど感染防止対策が徹底されていることを感じた一方、人通りはまばらで、閑散とした印象がぬぐえなかった。[br] 緊急事態宣言が解除され2度目の週末を迎えた5月下旬。午後5時を回った市中心街では、一つ、また一つと店の明かりがともっていった。ゴールデンウイーク期間中は、ほとんどが休業し、まるでゴーストタウンのような異様さだった。「ごく当たり前の光景」が戻りつつあることに、うれしさがこみ上げた。[br] 通り沿いの居酒屋の店頭では、テークアウトをPRする掲示がにぎやか。定番料理の持ち帰りに加え、専用の「おつまみセット」を手掛ける店もあった。テークアウトは、自宅で気軽に「居酒屋気分」を楽しめると好評のようだ。取り組む店主の一人は「店を応援する気持ち」にも支えられているとして感謝した。[br] 一方、店舗維持に掛かる毎月の固定経費が悩みの種とか。特に重くのしかかるのが家賃で、建物所有者との交渉で軽減をしてもらっている店も多いそうだが、期間限定で、その先はどうなるか分からないという。[br] 同市六日町の焼き鳥店はテーブルの間隔を空け、席数を半分以下に減らし営業していた。入り口には消毒液が置かれ、手をこすり合わせるしぐさが、この数カ月ですっかり見慣れた光景になったことにあらためて気付かされた。[br] 店には、料理の持ち帰りのために訪れる人もいた。そのうちの一人の男性は初めての利用のようで、「居酒屋に来て、飲まず食わずで出るのが不思議」と話していたのが印象的だった。[br] 八戸の“夜の顔”でもあるみろく横丁では、観光や出張で訪れる人が減少し、寂しさが漂っていた。それでも地元客でにぎわう店もあり、久しぶりに露地で聞く笑い声が心地よかった。[br] 営業再開は店にとって手探りのようだ。ある男性店主は「その日にどれぐらいのお客が来るのか分からないから、仕入れる食材の量を抑えている。ただ、そういう日に限って混んだりするんだ」と頭をかいた。[br] カラオケを置くスナックやナイトクラブでも、マイクを1回ごとに消毒するなど感染防止対策を始めているという。カラオケ自体を休止するところもあるが、同市長横町の店で働く女性は「お客さんが要望するので断れない。これがないと、店としてもやっていけない」とこぼした。[br] 市中心街では休業中の店も目にした。緊急事態宣言が解除されても、未知のウイルスに対する、市民らの警戒心は消えていない。つい数カ月前まであったにぎわいを取り戻すのは、いつのことになるのだろう。静かな街に吹き込む夜風が余計に冷たく感じた。緊急事態宣言が解除され、八戸市中心街でも飲食店が徐々に再開。感染予防対策を講じながら、客足の回復を願っている=5月下旬、同市