天鐘(5月14日)

ステイホームの最中に暇をもてあまし、何気なく開いてみた雑誌。パラパラとページをめくっていたら、なんとも懐かしい昔の玩具に出会った。その名も「やじろべえ」▼今の子供たちは知っているのだろうか。小さいころは自分で作って遊んだものである。ドングリ.....
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 ステイホームの最中に暇をもてあまし、何気なく開いてみた雑誌。パラパラとページをめくっていたら、なんとも懐かしい昔の玩具に出会った。その名も「やじろべえ」▼今の子供たちは知っているのだろうか。小さいころは自分で作って遊んだものである。ドングリに竹ひごを通せば完成する簡単な人形。指先でゆらゆらと揺れる危なっかしい姿を見ているだけで楽しかった▼十返舎一九の『東海道中膝栗毛』に出てくるコンビの一方、弥次さんこと「弥次郎兵衛」に由来するらしい。旅の荷物を長い棒の両端に掛けて担いでいる姿だというから、ユニークな愛されキャラである▼その弥次さん、造りのシンプルさゆえ、子供向けの良き理科教材でもある。均衡を保つために肝心なのは支点からの距離と重さ。それが崩れれば、たちまち倒れてしまうという力学の基本を分かりやすく教えてくれる▼全国に出されていた緊急事態宣言が青森や岩手などで解除されることになりそうだ。政府が要請する「新しい生活様式」の中で、これまで止まっていた経済活動もまたそろりと動きだす。感染症との闘いも新局面だ▼命は大事。一方、もちろん暮らしも大事である。絶妙なバランスを保ってコロナ克服の道を歩んでいけるかどうかはリーダーたちの手にある「重り」にかかる。偏りのなきよう願いたい。指先の弥次さんが転げ落ちては、元も子もない。