天鐘(4月25日)

日本が近代国家へ踏み出した明治維新。その影で会津藩士は時代に翻弄(ほんろう)され、運命に殉じた。NHK大河ドラマ『八重の桜』の記憶が新しい。幕末の激動期に忠義を貫いた武士道は、時を超えてなお人々の胸を打つ▼会津の揺るぎない精神、数多(あまた.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 日本が近代国家へ踏み出した明治維新。その影で会津藩士は時代に翻弄(ほんろう)され、運命に殉じた。NHK大河ドラマ『八重の桜』の記憶が新しい。幕末の激動期に忠義を貫いた武士道は、時を超えてなお人々の胸を打つ▼会津の揺るぎない精神、数多(あまた)の偉人は体系的な教育の賜(たまもの)とされる。藩士の子弟は地区の集まり「什(じゅう)」を経て、10歳になると藩校の「日新館」へ。武士の心得から儒教、武術、礼式に至るまで幅広く学んだ▼幼年教育に該当する什には、子どもが自らを律する7カ条の掟(おきて)があった。年長者を敬う、うそをつかない、弱いものいじめをしない。戒めに背いていないか、毎日の反省会で自問自答を重ねた▼現下のコロナ禍においては「什の掟」ならぬ「10のポイント」である。帰省や飲み会はオンライン、スーパーやジョギングは少人数・すいた時間、仕事は在宅、会話はマスク着用。国民に対する呼び掛けに切迫感、焦燥感がにじむ▼岩手、次いで青森が関係施設の休業を訴えた。東北・新潟7県は越境往来をとどまるよう声を上げた。機を逃せばさらに先が見えなくなり、“正念場”が繰り返されるだけ。もちろん事態の悪化を伴った上で▼什の掟を破った場合の処罰は無念(詫(わ)び)竹篦(しっぺ)派切り(絶交)。いかにも子どもらしいが、感染症は容赦なく命すら奪う。「ならぬことはならぬものである」。件(くだん)の教戒が響かないはずはない。