新型コロナウイルスの感染拡大により、青森県内でも感染者の報告が相次いだ。県南地方では市民が外出の機会を減らすなど、リスクの回避を心掛けて行動する姿が目立つ。[br] まん延する感染症と同様に、いつ発生するのか分からないのが自然災害だ。二つの非常事態が重なった時に、どう動くべきなのか。近年、地震や風水害による被害が目立つだけに、あらかじめ考えておきたい。[br] 有事の際には、まず身の安全を確保することが肝要だ。その上で、可能な範囲で衛生管理を徹底し、ウイルス感染の防止に努める。[br] 仮に感染症が猛威を振るう現状で大きな災害が起きた場合、衛生用品の物資不足という課題に直面するだろう。特にマスクや消毒用アルコールなどの確保は容易でない。[br] 県防災士会八戸支部の館合裕之氏によると、感染症を予防するために、布マスクなどで鼻や口を覆いたい。その効果にはさまざまな意見があるものの、ウイルスが付いた手指で鼻や口に触れるのを、ある程度は防げる。もちろん、入念な手洗いは欠かせない。[br] 避難場所の衛生管理においては、家庭用塩素系漂白剤も消毒用アルコールの代用になる。水で薄めた次亜塩素酸ナトリウム液を使って、人が手で触れる場所を消毒するのは有効とされている。[br] 避難先については、感染拡大が懸念されるケースでは自宅避難も考えた方がいい―との認識を示す。衛生管理が不十分な避難所では感染リスクが高まり、集団感染につながる恐れがあるためだ。[br] 自宅避難の安全を確保するためには、耐震補強や家具の固定、食料や日用品の備蓄など、日ごろから備えを万全にしておきたい。[br] 感染リスクを回避する観点では、車中避難もメリットがあるという。ただ、長時間にわたって同じ姿勢でいる時などに発症する「エコノミークラス症候群」には注意が必要だ。[br] その一方で、家屋が損壊したり、津波や洪水による被害が想定されたりする場合には、通常通りに避難所へ向かうことが求められる。[br] 館合氏は「各地の自主防災組織では、感染症拡大と自然災害の同時発生は想定してこなかっただろう」と指摘する。感染症との戦いは、“複合災害”に対処する上での課題も浮き彫りにした。今こそ危機意識を高め、身近なところから防災体制を見直したい。