悲劇教訓に再発防止徹底へ 空自三沢F35A墜落1年

三沢基地の滑走路から離陸するF35A。痛ましい事故を教訓に再発防止の徹底が求められる=3月下旬
三沢基地の滑走路から離陸するF35A。痛ましい事故を教訓に再発防止の徹底が求められる=3月下旬
航空自衛隊三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが青森県沖の太平洋に墜落、操縦士1人の命が失われた事故の発生から、9日で1年がたつ。基地に同型機の飛行隊が発足したばかりの時期に起きた事故が、市民に与えた動揺は大きく、「もしも市街地に落ちてい.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 航空自衛隊三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが青森県沖の太平洋に墜落、操縦士1人の命が失われた事故の発生から、9日で1年がたつ。基地に同型機の飛行隊が発足したばかりの時期に起きた事故が、市民に与えた動揺は大きく、「もしも市街地に落ちていたら…」との不安も広がった。市民は空自に対し、今回の事態を教訓に、二度と事故を起こさないよう再発防止の徹底を求めている。[br] 事故は2019年4月9日午後7時25分ごろに発生。4機による夜間訓練中、三沢基地の東約135キロの洋上でレーダーから1機の機影が消え、操縦していた細見彰里2等空佐=当時(41)、3等空佐から特別昇任=が行方不明となった。翌10日、周辺海域で機体の一部が見つかり、防衛省は墜落と断定した。[br] 海上自衛隊の艦艇や米国が派遣した深海捜索船などによる海底捜索で、フライトレコーダー(飛行記録装置)の一部が見つかったが、飛行記録が残るメモリー(記録媒体)部分は含まれていなかった。6月3日に原因究明のための捜索が打ち切られ、その後、細見2佐の死亡が認定された。[br] 空自は同10日、操縦士が機体の高度などを把握できなくなる「空間識失調」に陥り、自覚のないまま墜落した可能性が高いとする中間報告を公表。三沢市は同20日、就任後間もない小桧山吉紀市長が停止されていた同型機の飛行訓練再開を容認し、同省に伝達した。[br] 8月1日、F35Aは約4カ月ぶりに飛行を再開。空自は同9日、機体に異常はなかったとの最終的な調査結果をまとめて公表した。[br] F35AはF4戦闘機の後継機。同基地では19年3月、F35Aの第302飛行隊が発足し、事故はその後間もない時期に起きた。[br] 同基地の第3航空団司令部渉外室によると、同隊は事故を受け、昨年8月以降▽空間識失調に関する教育訓練実施▽夜間飛行時、速度や高度などの飛行諸元を適時適切に確認▽機体の各種警報装置について教育訓練を実施―の3項目について、従前以上に徹底する再発防止策を掲げ、飛行の安全に努めている。[br] 三沢市民は空自に対し、事故を教訓に安全な運用を求める。小桧山市長は取材に、「当時はまだ市長ではなかったが、一市民として最先端の戦闘機の墜落に驚きと戸惑いを覚えた」と振り返り、「訓練や整備点検という事前の取り組みがいかに大切か―と思い知らされた。事故が二度と起きないように願う」と述べた。[br] 同市中央町2丁目の70代無職女性は「街中に墜落したらと考えると怖い。事故やミスにつながらないよう、しっかりと訓練を行って」と注文を付けた。同市桜町3丁目の無職男性(79)は「基地があることで三沢は発展してきた」と理解を示す一方、「事故を起こさないことが第一要件だ」と語気を強めた。三沢基地の滑走路から離陸するF35A。痛ましい事故を教訓に再発防止の徹底が求められる=3月下旬