三沢市議会は改選後初の臨時会を終え、正副議長や各委員会の顔ぶれが決まった。定数18のうち、11人が所属する最大会派・市民クラブが主要なポストを占め、存在感を示した。[br] 市民クは昨年6月の市長選で初当選した小桧山吉紀氏を支援した、いわば“勝ち組”。種市一正前市長時代から与党の立場で市政を後押ししてきた。改選後に新人や他会派の現職を取り込み、勢力を増した。[br] 市議選を振り返ると、千票以上を獲得した8人のうち、5人が市民クの議員。一方、市長選で敗れた鈴木重正氏を推した議員は1人だけだった。[br] 自民党系の市民クの圧勝は、安定した市政を望む多数の声を反映したと受け止めることができるが、他方で市政に変化を求める市民の意識もうかがえる。[br] 共産党の元職が上から7番目となる1100票を獲得し、議席を奪還したのが一例だ。昨年の市長選と同時に行われた市議補選にも出馬。実績と知名度の高さが当選の背景にあるとみられるが、かつてないほど支持を集めた。市政界で長く続く「自民1強」を良しとせず、一定のブレーキが必要という声ではないか。[br] 支持基盤がない選挙初挑戦の30歳新人が議席を獲得したことも、市政界に衝撃を与えた。主にインターネット上で主張を展開。表立った活動が見えず、他陣営は最後まで浸透度をつかみきれなかった。実力未知数の若手の勝利は、当選5回以上のベテランが多い市議会に、新しい風を吹かせてほしいという期待があるからだろう。[br] 市民クや小桧山市政と対立関係にあった拓心会は5人全員が当選したが、改選後に解散。うち3人は新会派・かがやきを結成した。所属議員は「スタンスは対立ではない」とし、市側と協調姿勢を見せる。[br] 改選後の市議会は共産を除きオール与党化の様相も呈するが、行政監視の役割を怠ってはならない。不毛な対立を避け、車の両輪として行政と手を取り合い、市政の課題に立ち向かうことも必要だが、追認するだけでは市民の理解は得られまい。行政が提案する施策が最大の効果を生み出すものとなるよう、市民の目線に立って厳しくチェックする姿勢が求められる。[br] 地方は人口減少に歯止めが掛からず、地域の将来を見通しにくい時代を迎えている。選挙を通じて街づくりを託された責任は重い。市民の厳しい目が向けられていることを忘れず、議会活動に取り組まなければならない。