天鐘(3月23日)

「キャラが立つ」は辞書にも載る慣用句。個性が際立っていることを意味する。周囲を和ませる「癒やしキャラ」。少しずれた言動で笑いを誘う「天然キャラ」。汎用(はんよう)性は高い▼元は漫画の登場人物を評した若者言葉。定着のきっかけは2007年の自民.....
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 「キャラが立つ」は辞書にも載る慣用句。個性が際立っていることを意味する。周囲を和ませる「癒やしキャラ」。少しずれた言動で笑いを誘う「天然キャラ」。汎用(はんよう)性は高い▼元は漫画の登場人物を評した若者言葉。定着のきっかけは2007年の自民党総裁選だとか。「私はキャラが立ち過ぎ」。当時の幹事長、麻生太郎氏の演説は注目を集めた。後に宰相となり、今は副総理兼財務相を務める▼“名付け親”は極め付きの「失言キャラ」か。戦争激化による中止、冷戦下のボイコット、コロナ禍と、40年ごとに困難に直面する五輪について「呪われたオリンピック」と発言。物議を醸している▼うまいことを言ったつもりだろう。やはり思慮が足りない。過去の失言が次々と頭に浮かぶ。あまりにも短絡的な「子どもを産まない方が問題発言」。憲法観や国家観が問われた「ナチス発言」。人種差別を思わせる「一つの民族発言」▼麻生節と称される独特の「べらんめぇ調」。世論の反発を浴びても、弁解して受け流しつつ、時に毒づく。度重なる失言は断じて豪放磊落(らいらく)ではない。「キャラ」で済ますには度が過ぎる▼コロナ・ショックの底が見えない。経済の冷え込みが止まらない。現金給付はカンフル剤になり得るのか。消費税引き下げの圧力も高まる。いかにして国難を乗り越えるのか。かじ取り役を担う大臣が発するメッセージは重い。