時評(3月23日)

十和田市は4月1日、市街地循環バスと、市中心街と旧十和田湖町を結ぶ西地区シャトルバスの本格運行を開始する。2018、19年度の実証運行を経て、区間や経路を設定し、市民の需要を把握するなど準備を進めてきた。高齢者や運転免許証がない人に加え、観.....
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 十和田市は4月1日、市街地循環バスと、市中心街と旧十和田湖町を結ぶ西地区シャトルバスの本格運行を開始する。2018、19年度の実証運行を経て、区間や経路を設定し、市民の需要を把握するなど準備を進めてきた。高齢者や運転免許証がない人に加え、観光客ら来訪者の移動手段として、市民生活の利便性向上や街なかのにぎわい創出につなげてもらいたい。[br] 市街地循環バスは、市中央バス停を起点、終点とし、市内の北、東、南各地区をつなぐ。1日6便(6周)を運行し、1周の所要時間は約1時間10分。西地区シャトルバスは旧町の法量バス停と市中央バス停を1日2往復し、約25分で市街地と郊外を結ぶ。[br] 運賃は1回100円(小学生未満は無料)と手軽なワンコインで、体験乗車期間として20年4、5月は無料とした。まずは多くの市民に乗車してもらい、バスの存在や利用方法を広く周知する機会としたい。[br] 停留所は公共施設や医療機関、スーパー、集会所付近など計40カ所。通勤や通院、買い物といったさまざまな用途に活用できる。官庁街通りもルートに入っており、春には満開の桜を車窓から楽しめる。[br] 市街地循環バスには、高齢者や体が不自由な人でも利用しやすいバリアフリーの低床バスを2台導入した。西地区シャトルバスを含めた計3台の車両は、写真家で映画監督の蜷川実花さんら作家3人のデザインを採用。“アートの街”ならではの斬新なラッピングバスが注目を集めそうだ。[br] 市は22年4月の利用開始を目指し、同市稲生町にあったデパート「ジョイフルシティ十和田亀屋」の跡地に、バスターミナルの整備を進める。完成すれば、市街地循環バスをはじめ、民間の高速バスや路線バス、タクシーなど、さまざまな交通機関が集まる結節点の役割を果たす。相乗効果に期待したい。[br] 公共交通は車社会や少子高齢化の進展といった影響もあり、地方都市では利用者が減少傾向だ。この厳しい状況の中、十和田市は高齢社会への対応、地域活性化に向けた責務を果たすべく、新たにバスの運行を決断した。[br] 将来的な維持、存続には、より多くの人の利用が不可欠。使い勝手が良ければ、普段はバスを利用しない市民も目を向けるはずだ。ラッピングバスは市外からの来訪者の呼び水になるだろう。“市民の足”として定着するよう、利便性向上へ努力を続けてほしい。