天鐘(3月9日)

尾をひく煌(きら)めきが夜空に映える。光の筋はにわかに出現、1カ月もすれば消えてなくなる。吉兆なのか、凶兆なのか。古(いにしえ)の人々にとって、彗星(すいせい)は不可思議で予期せぬ天体だった▼その謎を解明したのが英国の天文学者であるエドモン.....
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 尾をひく煌(きら)めきが夜空に映える。光の筋はにわかに出現、1カ月もすれば消えてなくなる。吉兆なのか、凶兆なのか。古(いにしえ)の人々にとって、彗星(すいせい)は不可思議で予期せぬ天体だった▼その謎を解明したのが英国の天文学者であるエドモンド・ハレーである。微積分を応用し、自身が観測した大彗星の軌道を検証。太陽を周回する「回帰」が立証されたのは死後だったが、ハレー彗星の名が偉業をたたえる▼かのアイザック・ニュートンと親交が深く、生命保険の礎も築いたとされる。その偉人が命名したのが「チャールズのかしのき座」。当時の国王に捧(ささ)げて資金援助を受けたらしい。動機が不純だった故か、件(くだん)の星座は現存しない▼いま話題の星座はオリオン座。ひときわ大きい左上の赤色巨星「ベテルギウス」が、昨秋から今冬にかけて輝きを失った。これまでの半分以下。明るさが変わる変光星ではあるが、超新星爆発を起こすと騒ぎになった▼冬の大三角の一つ。核融合反応で内部の水素を使い果たし、千万年の寿命が近い。ただし、多くの専門家は減光と爆発の関連性を否定。2月中旬以降は増光に転じたという▼太陽と地球が46億歳というスケールの宇宙の世界で、いずれ太くて短い人生を閉じる。640光年の距離を考えると、もしかしたら既に爆発している? 見納めになるのなら惜しい。春が近い夜空を見上げ、冬の星座を探してみる。