天鐘(3月7日)

世はやはり「捨てる神あれば拾う神あり」かもしれない。感染が拡大する新型コロナウイルスに怯(おび)えていたが、予防用ワクチンの開発や喘息(ぜんそく)治療薬の抗炎症効果が期待されるなど、“瀬戸際”に来たら朗報も聞こえてきている▼感染者と死者が日.....
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 世はやはり「捨てる神あれば拾う神あり」かもしれない。感染が拡大する新型コロナウイルスに怯(おび)えていたが、予防用ワクチンの開発や喘息(ぜんそく)治療薬の抗炎症効果が期待されるなど、“瀬戸際”に来たら朗報も聞こえてきている▼感染者と死者が日ごと増え、白かった日本地図がどんどん色づけされていく。見えない敵に戦々恐々だが、“助っ人達”の登場で起死回生の一発大逆転も期待される▼ワクチンは大阪大の研究グループとバイオ製薬会社「アンジェス」の共同開発。普通は鶏卵で培養するため1年半を要すが、大腸菌を使ってDNAワクチンを製造すれば、臨床実験まで6カ月に短縮できるという▼各国が開発に凌ぎを削っているが、大腸菌を使った阪大の手法は短期に安全で大量生産できる強みが注目されている。また、神奈川県立足柄上病院の治療チームが喘息の治療薬の投与で重症患者を改善させた▼搬送されたクルーズ船の乗客3人に抗ウイルス、抗炎症吸入薬「シクレソニド(商品名『オルベスコ』)」を使ったら数日で快方に向かったという。筆者も常用する身近な肺障害の薬だが、その効果に驚かされた▼隠蔽(いんぺい)体質の政治と異なり中国はウイルス情報を広く提供。ゲノム配列が新型肺炎(SARS)にそっくりで病理学の初動に活かされた。小手先の政治など見破られる。虚心坦懐な科学の一手が大逆転を生みそうな気がする。