時評(2月26日)

2020年度予算案の衆院通過を巡る与野党の攻防が、大詰めの段階を迎えている。政府与党は28日までに衆院を通過させ、年度内成立を確実にしたい方針だが、これまでの政府答弁の混乱ぶりから、衆院予算委員会での採決の環境が整いつつあるとは到底言えない.....
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 2020年度予算案の衆院通過を巡る与野党の攻防が、大詰めの段階を迎えている。政府与党は28日までに衆院を通過させ、年度内成立を確実にしたい方針だが、これまでの政府答弁の混乱ぶりから、衆院予算委員会での採決の環境が整いつつあるとは到底言えないだろう。[br] 約1カ月にわたる国会論戦を振り返ると、安倍晋三首相が「桜を見る会」の参加者に関して「募ったが、募集していない」との趣旨の答弁をしたり、東京高検検事長の定年延長問題で法解釈変更を突然持ち出したりするなど、政府側のほころびばかりが目立つ。[br] 首相や閣僚、官僚のしどろもどろの答弁ぶりが連日のように新聞やテレビ、インターネットで伝えられ、国民の政治不信の高まりと内閣支持率の下落につながっている。政府答弁が信用を失えば国会での質疑は成り立たず、議会制民主主義の土台を掘り崩してしまう。安倍首相は政治への信頼回復のため、衆院予算委での徹底審議の実現へ誠意を示すべきだ。[br] 桜を見る会前日の夕食会に関する首相答弁と、会場となったホテルから野党への回答との矛盾は解消されていない。首相の説明に国民の多くが納得していないのは、各種世論調査で明らか。首相が国民の声を謙虚に受け止め、疑念解消のために明細や領収書を提示するなど打開策を打ち出すべき時に来ている。[br] 答弁混乱の最たるものが、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を巡るドタバタ劇だ。検察庁法で定年を定めている検察官には、国家公務員法の定年延長規定は適用されないとした1981年の人事院答弁を根拠に野党は「違法だ」と追及した。[br] 森雅子法相は81年答弁との矛盾を突かれてもまともに答えられず、直後に首相が「法解釈を変更した」と表明した。定年延長の閣議決定後に、後付けで法解釈変更によるつじつま合わせをした疑いが濃厚だ。「法と正義」の番人である検察トップの検事総長人事が定年延長と絡んで疑念を持たれること自体、法治国家の原則を揺るがしかねない。安倍首相は深刻に受け止め事態収拾を図るべきだ。[br] 新型コロナウイルス対応でも安倍政権の危機管理能力の欠如を疑わせる事態が起きた。小泉進次郎環境相ら閣僚3人が対策本部会合を欠席し、地元会合に出たことが明らかになり、批判を浴びた。首相は緊張感を持って閣内を引き締める必要がある。審議を尽くさないまま巨大与党が数の力で採決を押し切るようなことがあってはならない。