時評(2月17日)

三沢市中心商店街を通る県道の一方通行規制が2年後に解除される方向となった。対象は900メートル。このうち約半分の区間に架かるアーケードの撤去などを条件に、三沢警察署が市側へ方針を示した。10年以上にわたって市商工会が求めてきた対面通行の実現.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 三沢市中心商店街を通る県道の一方通行規制が2年後に解除される方向となった。対象は900メートル。このうち約半分の区間に架かるアーケードの撤去などを条件に、三沢警察署が市側へ方針を示した。10年以上にわたって市商工会が求めてきた対面通行の実現に、ようやく道筋が着いた。[br] 米軍と航空自衛隊が所在する三沢基地近くの中心商店街は4商店会からなる。三沢駅から基地までの間にあり、戦後は人と物が行き交う通りとして活気付いた。日米友好のアメリカンデーや三沢まつりの会場になるなど、今も三沢の顔としての一面を持つ。[br] だが、イベント時以外は買い物客がまばらで、にぎわいとはほど遠い。車社会の到来で訪れる人は減り、1995年においらせ町にイオンモール下田が開業すると衰退が加速した。[br] 大町、銀座両商店会には老朽化したアーケードが残り、「シャッター通り」と言われて久しい。大通り、中央の商店会は2010年までにアメリカ村整備によって道路が拡幅されるなどして街並みが一新されたが、こちらも活気付いているとは言い難い。[br] 市商工会は一方通行規制の解除により、通行量の増加が見込めるとして05年ごろから市に実現を求めてきた。基地からの帰宅者が商店街を通れるようになり、店への立ち寄り客が増える可能性があるためだ。[br] 過去の協議で、三沢警察署は「解除後の安全性を確保できない」との理由で難色を示してきた。だが一方通行区間の通行量の減少、商店街裏通りで交通量が増え事故が多発している状況を踏まえて、地元の合意とアーケード撤去を条件として「解除の方向で検討する」という姿勢に転じた。[br] 市は21年度までに撤去を完了する予定だ。規制は県公安委員会の決定を持って解除となる。地元商店会からは「訪れる人の安全を最優先にしてほしい」との声が聞かれる。規制解除で周辺の交通環境は変わるが、以降も安全に買い物ができる空間を整えなければならない。[br] 中心商店街は危機的な状況にある。かつての活気を取り戻すのは難しいだろう。それでも、アーケードの撤去と規制の解除は、その存在意義を問い直す契機となるのではないか。[br] この2年間の取り組みが重要となる。三沢のまちづくりにおいて、どのような位置付けにするか。行政だけではなく、地元商店も一緒になって振興に向けて知恵を絞るべきだ。