天鐘(2月17日)

見てくれる人が多いほど張り切る。晴れ舞台があるから懸命に稽古に励む。大黒舞にえんこえんこ、松の舞。えんぶりに欠かせない賑やかな祝福芸を担うのは、地域の子供たちだ▼八戸市の中心街で、えんぶりの一斉摺りが初の試みとして行われたのは1969年。え.....
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 見てくれる人が多いほど張り切る。晴れ舞台があるから懸命に稽古に励む。大黒舞にえんこえんこ、松の舞。えんぶりに欠かせない賑やかな祝福芸を担うのは、地域の子供たちだ▼八戸市の中心街で、えんぶりの一斉摺りが初の試みとして行われたのは1969年。えんぶり組の数が激減し続けていた頃だった。同年2月の本紙が報じている。「時代の波に押されて廃れる一方」「年々後継者が不足していく“斜陽”のよう」▼大黒舞なども隣町の子供を借りて演じてもらうほど窮していたとも。一斉摺りは、華やかな見せ場を設けることで観光客を呼び、参加組を増やすための一策。賛否はあったが、えんぶり再興を懸けた取り組みだった▼今でこそ全国からの観光客を魅了する一大行事だが、歴史を知ると先達の苦労に頭が下がる。公演の場は次々と増え、舞台に立つ子供たちの表情も誇らしげ。担い手不足に泣いた時期が嘘のようである。「えんぶり伝承師」たちの指導も大きい▼最近は、子供が子供を呼んでさらに増えているという。同級生が公演に出た姿を見て羨(うらや)ましくなり、自分も参加するようになるのだとか。えびす舞をまねる幼児の姿も微(ほほ)笑えましい。確実に次代へ継承されている▼いよいよ本番。今日、八戸えんぶりが開幕する。中心街で町内で学校で。見る側も参加者であり、大事な支え手だ。観客として拍手を送り盛り上げたい。